建設工事業情報ラボConstruction Business Information Lab

建設工事を請け負う場合には注文書および請書の作成で足りる?

2019.10.11
分類:その他
建設工事を請け負う場合に結ぶ請負契約は、一定事項が記載された書面で行うことが必要です。 法律上は、双方が合意すれば契約は可能とされているので、契約書を取り交わさず口頭で行った場合でも成立します。しかし、口頭だけで契約を結んでしまうと、後で契約内容を巡るトラブルになった場合など、どのような契約だったのか確認する手段がありません。 そのため後々のトラブルを防ぐためにも、建設業法では建設工事を契約する場合には、重要事項を記載した契約書を作成した上、それぞれが契約書を保管しておくようにするべきとされています。 また、契約書を作成せず注文書および請書で対応することもできますので、その方法をご説明します。

請負契約における契約書に記載する項目とは?

建設工事の請負契約において作成する契約書には、次の項目を記載するようにしてください。 ・工事内容(名称・場所・設計図書・工程・条件・制約・費用負担区分など) ・請負代金の額 ・着手する時期と完成時期 ・前金または出来高部分に対しての支払時期とその方法 ・工期や請負金額の変更、損害の負担などの算定方法 ・天災などによる工期変更、損害の負担などの算定方法 ・価格変動や変更に基づく請負金額または工事内容の変更 ・施工により第三者が損害を受けた場合の賠償金の負担 ・注文者が資材の提供、または建設機械など貸与する場合の内容と方法 ・注文者が行う工事完成検査の時期と方法、引渡し時期 ・完成後における請負代金の支払時期とその方法 ・工事目的物の瑕疵担保を行う責任履行に関する定めとその内容 ・履行遅滞その他債務不履行などの遅延利息、違約金、他、損害金について ・契約に関する紛争の解決方法

注文書および請書で対応することも可能

建設工事で請負契約を結ぶ場合には、これらの項目を記載した契約書に当事者同士で記名押印を行い、それぞれに交付します。 ただ、注文書および請書を双方で交付するというケースでは、契約書ではなく基本契約書や基本契約約款を作成することで対応可能です。 仮に基本契約書を締結し、具体的な取引は注文書・請書を交換することで対応する場合には、次の点に注意するようにしましょう。 ・注文書および請書に工事内容や請負金額、工期などの必要事項を記載し、記載されている事柄以外のことは基本契約書の定めによるべきとしておくこと ・基本契約書には、注文書および請書に記載された請負契約書に記載するべき事項以外の事柄を記載しておき、双方が署名・押印の上それぞれに交付しておくこと ・注文書には注文者、請書には請負者が、それぞれ署名・押印すること 基本契約書は結ばずに、注文書および請書を交換するという形で対応する場合には、注文書および請書に同じ内容の契約約款を添付することが必要となります。 また、注文書および請書に記載する内容は上記同様で、基本契約書に記載するべきことを契約約款に記載することが必要です。 なお、いずれも枚数が複数になる場合には、割印をしておくようにしてください。