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建設業界の労災保険は一般的な業種と異なる点が多い?

2019.11.21
分類:その他
建設業界で加入する労災保険は、一般的な業種の労災保険とは異なっている点に注意が必要です。 まず、建設工事の元請業者が加入する労災保険で、元請業者だけでなく下請業者の労働者に対しての労働災害も補償されることとなります。 さらに建設業の場合、元請工事の金額を基準とした保険料が発生する点も特徴的といえるでしょう。 一般的な労災保険と異なる点がいくつかあるので、混乱しそうになってしまいがちですが、建設会社を営むなら建設業界の特殊な労災保険について知っておくことが必要です。

労災保険には自動的に加入したことになるものの…

建設工事の元請業者である場合、建設工事が始まった日から10日以内に保険関係成立届の提出が必要となりますが、この届出の提出が行われているかに関係なく、労災保険には自動的に加入したことになります。 ただ、加入の手続きを行っていない状況で労災事故が起きてしまうと、労災保険の保険料を支払っていない状態となるため、費用徴収制度が適用される点に注意しましょう。 費用徴収制度が適用される時とは、労災保険への加入手続きを行政から指導されているのにもかかわらず、放置していて労災事故が発生した場合などです。この場合、保険金として給付されることになる金額の100%を徴収されることになります。 また、労災保険への加入手続きを行うよう、行政からの指導などはされていないものの、工事を始めてから1年経過しても加入していない状態で労災事故が起きた場合には、保険金として給付される金額の40%を徴収されます。

労災保険の継続事業と有期事業の違い

労災保険では継続事業と有期事業という考え方があり、まず事業終了時期が予定されていない場合は継続事業、終了が予定されている場合は有期事業とされます。 一般的な事業を営んでいる場合には、廃業したり倒産に至らなければ経営は続くので継続事業となりますが、建設工事の場合は工期が終了までなので有期事業に該当することとなります。 建設工事などの有期事業は、労災保険への加入手続きが継続事業と違って、工事現場を管轄する労働基準監督署で行います。

有期事業はさらに細かく分類される

また、有期事業にも一括有期事業と単独有期事業があり、一括有期事業は労災保険料が概算見込額で160万円未満(もしくは確定保険料100万円未満)であり、さらに請負金額が1億9千万円未満の場合です。 一括有期事業の場合には、一定要件を満たすことで工事を取りまとめ1つの保険として処理することが可能です。手続きは元請業者の本店、または支店を管轄する労働基準監督署で行うことになります。 単独有期事業とは一括有期事業以外の有期事業なので、行われる工事ごとに工事現場を管轄する労働基準監督署で保険手続きを行い、工事が終わるごとに保険料の精算手続きが必要となります。

雇用保険は別途手続きが必要

労災保険は元請業者が建設工事を行う下請業者の労働者を含む、すべての労働者に対して加入します。ただ、下請業者は労災保険の加入手続きは必要なくても、雇用保険は手続きが必要になりますので、建設業は労災保険と雇用保険の加入手続きを別々に行うことが必要であると理解しておきましょう。