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建設業界は派遣が禁止されている?可能となる業務とそうでない業務とは

2020.01.15
分類:その他
正社員やパートやアルバイトなど、労働者の働き方はいろいろですが、派遣もその1つです。ただ、労働者派遣法によって、建設業務に対する労働者の派遣は禁止されていますが、すべてではなく特定の業務がその対象です。 そこで、建設業の特定業務に派遣が禁止されている理由とその内容を把握しておきましょう。

そもそも労働者派遣とは?

派遣元会社が派遣の依頼を受けることで、依頼先に労働者が派遣されます。そのため労働者派遣では、労働者と派遣元会社が雇用契約を結んでいる状態であり、労働者に対する賃金も派遣元会社が支払います。 しかし派遣の依頼先が労働者を指揮・命令する立場となることが特徴といえるでしょう。

なぜ建設業界では派遣禁止に?

ではなぜ建設業で派遣が禁止されているのかというと、派遣を認めてしまうと労働者の利益が守られなくなるからです。 建設業界は元請け、下請け、孫請け、ひ孫請けというピラミッド式の請負契約となっていますので、元請けより下請けのほうが給料は安くなり、さらに下請けよりは孫請け、孫請けよりはひ孫請けと下位層になるほど賃金は下がる傾向がみられます。 この構造に派遣の仕組みが入れば、さらに労働者の賃金は下がることになると考えられますので、雇用と指揮命令は同一であることが望ましいと考えられたことが派遣禁止となった理由といえるでしょう。

建設業界で派遣が禁止されている特定業務とは

建設業界で派遣が禁止されている特定業務とは、労働者派遣法第4条1項に規定がされていますが、土木、建築、工作物の建設、改造、保全、修理、変更、破壊、解体の作業、またはその作業準備などです。 ただし建設現場の事務員や、CADオペレーター、施工管理などは特定業務に該当しないため、派遣を利用することができます。 派遣が禁止されているのは建設現場などで直接作業に従事する方であり、設計や積算、現場監督、施工管理、事務員などの業務は派遣での対応が可能となっています。

現場代理人は派遣社員から選任可能?

また、元請業者・協力会社が工事現場に配置することとなる専任の主任技術者や監理技術者、元請業者が工事開始後に選任する統括安全衛生責任者は、派遣社員からの選任はできません。 その一方で、現場代理人を派遣社員から選任することは建設業法上は禁止されていませんが、派遣社員が現場代理人と統括安全衛生責任者を兼務していた工事現場で重大な労働災害が起きた時には、行政による厳しい是正指導を受けることになると理解しておくべきでしょう。