個人事業主が建設業許可を取得することは容易ではない?

個人事業主で建設業を営む方の中には、1件あたりの工事請負金額500万円未満の軽微な工事だけを請け負っている方もいることでしょう。
この場合、建設業許可の取得は必要ないということになりますが、それでも元請業者から許可を取得するように求められることも少なくないようです。
また、銀行融資などを利用する場合には建設業許可の取得の有無が審査に影響することもあるなど、個人事業主でも建設業許可を取得したほうがよい場面は増えているともいえます。
一定条件を満たすことを証明できるか
個人事業主が建設業許可を取得しようとしたとき、たとえば行政書士などに依頼すれば簡単に申請は通るものだと考えている方もいるようです。
しかし、建設業許可を取得するときには一定条件を満たす経営業務の管理責任者が必要です。対象となる方が経営業務における管理責任者としての条件を満たしているか、書面で証明しなければなりません。
その一定条件とは、
・許可を取得する建設業種に関しての経営経験が5年以上
・許可を取得する建設業種以外の業種での経営経験が6年以上
などの経営経験が求められます。
これら経験期間を証明できる書類と、その内容を証明する書類を提出することになります。一般的には経験期間分の受付印付確定申告書控えの原本(電子申告であればその画面の印刷)の準備が必要と認識しておきましょう。
そして経営期間中、具体的にどのような建設業を営んでいたのか、建設工事の請負契約書や注文書、請書などの原本、請求書の写しや取引口座の通帳(入金履歴など確認できるもの)を必要年数分準備しなければなりません。
他にも提出を求められる書類に従い、それらの書類を用意することになります。
必要書類がそろわず申請ができないケースも
実際には経験年数分の確定申告書の控え原本を準備したくても、原本を紛失してしまったというケースもあれば、受付印のある控えを受け取っていないケースもあるようです。
税務署から写しを開示請求することもできるでしょうが、すぐに対応してもらえるとも限らずある程度の時間が必要です。さらに必要な期間分の写しがすべて開示されるとも限りません。
請負契約書なども取り交わしていないケースも存在しますし、請負代金を手渡しで受領していればその金額が入金されたのか確認できなくなってしまいます。
これらのことから、個人事業主で建設業許可をいずれ取得しようと考えているのなら、実際に許可取得の際に求められる書類を事前に把握し、それに向けた準備をしておくことがとても大切です。