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建設業の労働保険は特殊?その特徴と保険の適用関係

2020.12.18
分類:その他
建設業は労災事故が少なくないため、労働保険に加入しておくことが重要です。 しかし建設業は一般的な商店や工場などと比べたとき、労働保険の適用関係が複雑になっています。

建設業の労働保険の特徴

建設業の労働保険の特徴として、まず労災保険と雇用保険の適用単位が異なる点に注目しましょう。 通常であれば、労災保険も雇用保険も、どちらも労働者を1人以上使用する際には、商店・工場・事務所など事業所を単位として保険関係が成立することになります。 そして雇用保険は直接雇用する労働者がいれば、労働者を雇用する事業所を単位として保険関係が成立します。 それに対し建設業の労災保険は、次のような保険関係となります。

建設現場の場合

建築物を完成させることを目的とした作業の集合体を1つの事業とみなして、建設事業ごとに保険関係が成立することになります。 数次の請負で工事が行われる場合には元請負人が事業主となり、元請が下請の労働者も含めて一括で労災保険の手続を行うことが必要です。

事務所の場合

事務所で働く事務員や、現場労働者が事務所でも業務を行うときなど、建設現場とは別途、事務所の労災保険を成立させなければなりません。

建設工事は有期事業

継続事業とは事業終了時期が予定されていないケースであり、有期事業は終了が予定されている場合です。 一般事業は工場・商店・飲食店・病院など、終了時期が予定されていません。事業の廃業や倒産などがなければ事業を続けることは可能となります。 しかし建設工事は工事が完成するまでというように、終了の時期は工期として予定されています。 建設工事は有期事業なので労災保険に加入する手続きも継続事業と異なっており、原則、工事場所を管轄する労働基準監督署で手続が必要です。

労災保険の適用範囲と特別加入

建設現場で元請が加入している労災保険の適用対象となるのは、その現場の元請・下請に使用されて働いている労働者です。 同じ現場内で作業を行っている労働者でも、下請の事業主や一人親方は労災保険の適用対象とはなりません。 そのため下請の事業主や一人親方が労災保険で補償を受けることができるようにするためには、個別に特別加入しておくことが必要です。 事業主で特別加入を可能とするには、 ・金融・保険・不動産・小売業など 50人以下 ・卸売・サービス業など 100人以下 ・その他の業種 300人以下 という要件を満たす中小企業の事業主でなければなりません。 さらに特別加入したくても、単独で行うことはできませんので中小企業の事業主は労働保険事務組合に事務を委託すること、一人親方ならその団体を通すことが必要となります。 委託費用や手続方法は団体ごとに異なりますので、かかるコストなど気になるのなら事前に確認しておきましょう。