建設工事業情報ラボConstruction Business Information Lab

建設業界にも影響する公示地価発表のニュース

2021.03.29
分類:その他
2021年3月23日に公表された東京の地価についてのニュースを見ると、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり商業地の不調が目立ち、8年ぶりの下落となっています。 建設業界にも影響が及ぶ地価ですが、具体的にどのような動きとなっているか確認しておきましょう。

商業地の地価が下落

国土交通省が2021年3月23日、東京都内1月1日時点の2021年公示地価を発表しました。 これによると、どの用途地も8年ぶり前年比下落ですべての用途でみると1.0%の下落率となっています。 用途地ごとの下落率を確認すると、住宅地は前年比0.6%であるのに対し、商業地は1.9%です。これは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、宿泊や飲食の需要が大幅に減退したことや、日本を訪れる外国人観光客がいなくなったことも関係していると考えられます。 実際、浅草や銀座などの商業地は大幅に下落しているため、新型コロナの影響が大きいことは理解できるといえるでしょう。

新型コロナの影響は大きい

浅草を訪れる宿泊客の8割は外国人。しかしコロナ禍により外国人の入国が規制され、日本人観光客も緊急事態宣言発令や時短要請などの影響で激減し、休業を余儀なくされている店舗も少なくありません。 雇用調整助成金の活用などで従業員には休んでもらう対応を取っている事業者もあれば、商品の値段を大幅に下げて販売を続ける店舗もあります。 そもそも浅草は新型コロナ前まで地価が上昇していましたが、つくばエクスプレス浅草駅近隣と地下鉄浅草駅前の調査地点は約12%下落。下落率上位に入るという結果になっています。 他にも飲食店が多く立ち並ぶ中央区銀座や新宿区歌舞伎町なども下落が大きかったエリアといえます。

在宅勤務増加が地価に影響

さらに新型コロナでは、テレワークやリモートワークなど在宅勤務が増え、買い物もインターネットを使うといった機会が増えました。 買い物を近隣で済ます人も増えたたため、住宅が比較的多い駅前の商業地は堅調な動きを見せており、杉並区・足立区・世田谷区などの駅前商店街の商業地は上昇率上位となっています。 東京は新型コロナの影響により人口増加の勢いは鈍化しているといえますが、世界的規模の財政・金融緩和で発生した余剰資金が不動産に流れ込んでいるといわれています。 そのため住宅価格も底堅く、東京23区の2021年1月時点の中古マンション価格は70㎡換算6,041万円となっており、これは7か月連続の上昇という結果です。

今後住宅需要はどのように変化するか

在宅ワークが可能になったことで、職場までの距離を気にせず住まいを選ぶことができるようになりました。 それにより地方に移住する人も増えており、実際に長野県軽井沢町の別荘地の公示地価は上昇しています。 ただし都心の不動産が多く売却されているわけではなく、2拠点生活を続ける方が多いといえるでしょう。 今後も在宅勤務が定着するかはわかりませんが、中長期的な働き方の見通しは不明であり、住宅需要の傾向がすぐに大きな変動を見せるわけではなさそうです。