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建設業界でも3Dプリンターを活用する動きが活発化?

2021.06.21
分類:その他
近年、急速に市場規模が拡大している3Dプリンターですが、建設業界でも注目度が高まっています。 すでに海外では3Dプリンターを住宅や橋に活用するといった建設の事例も多くあるほどです。 そこで、建設業界で注目されている3Dプリンターについてご説明します。

3Dプリンターの市場規模は巨大化

3Dプリンターとは、3次元的な設計データをもとに、スライスされた2次元の層を重ね物体をつくりだす機械のことです。 一般的な3Dプリンターの場合、3次元データから液状・粉末状などの材料を断面形状に積み重ね、立体を形成していきます。 この場合には型が必要なく直接造形することとなり、複雑な立体造作物や中空構造を造作できることが特徴です。 2019年には3Dプリンターで造った世界最長の橋がオランダで架けられていますし、フランスでも2024年パリオリンピックに向け3Dプリンター製の歩道橋が建設されることが公表されています。

建設業界で3Dプリンターを使うメリット

建設業界で3Dプリンターを活用するメリットは、省人化・工期短縮・材料費カットなどが挙げられます。 建設用3Dプリンターの場合、大型プリンターを現場に設置しプリントする工法と、事前に工場でプリントした部材を現場に運んで組み立てる工法があります。 いずれの場合でも造作はほぼ自動で行うことが可能となるため、人手を必要としないなど人材不足に悩む建設業界の問題を解消させることにつなげることができます。 さらに工期も圧倒的に短縮され、廃棄ロスも大幅に減少させることができ、材料コストも抑えることが可能です。 さらに物理的な制約の中なら、どのような意匠でも再現可能なので、デザインや機能面でも無限の可能性を秘めていることはメリットといえます。

日本の3Dプリンター事情

日本の建設業界でも3Dプリンターを活用することが期待されますが、地震大国と呼ばれる国なので、強度・素材・工法などは建築基準法に従うことが必要です。 そのため3Dプリンター建築は容易とはいえず、建設用3Dプリンターも普及や開発が世界的に見ると遅れていると考えられるでしょう。 ただ、日本でも建設用3Dプリンターや専用材料を開発している企業は増えつつあり、株式会社大林組では曲面型枠や鉄筋を使わずシェル型ベンチを製作していますし、前田建設工業株式会社でも施工の完全自動化に向け開発を行っていることが発表されています。 今後、3Dプリンターが建設業界の問題を解決する役割を果たすことに期待したいところです。