建設業界で欠かすことのできないveとは?
建築のveとは、建物機能を維持しながらコストを削減することを意味しており、「value engineering」を省略した呼び方です。
英語を直訳すると「価値技術」となりますが、建築業界でのveの意味や現場でのve案について解説していきます。
昨今では欠かせないve
建築物を完成させるためには、それほど大きな建物でなくても、数千万円以上のお金が必要です。しかしveにより、その費用を数十万円や数百万円単位で削減できます。
昨今は建築工事費が高騰していることから、veは欠かせないことといえるでしょう。
どのようなときにve案が欠かせない?
建築物を設計する場合、基本設計と実施設計に分けることができます。
基本設計では、建物の性能・コンセプト・概算での部屋の配置・それぞれの部材の断面などを決定し、概算の工事費を算出します。
この段階では施工業者が決まっていないため、実際にかかる工事費がいくらかまでは確認できませんし、実施設計により追加で費用が発生することもあります。
基本設計で算出した概算工事費よりも、実際の工事費のほうが数千万円も大きくなると、予定していた予算を大きく上回ってしまうことになるということです。
このような場合、ve案により実施設計による費用を、建物の機能を落とさずできるだけ削減することを検討します。
cd案との違い
ve案とは性能や価値は低下させずコストを抑えることなので、開発・設計・製造・購買といった工程において、改善や代替案を具体的に提案することといえます。
建物の構造強度や品質を確保しながら、鉄筋の本数を減少させたりサイズを変更したりといったことがとなどです。
ve案ではなくcd案もありますが、これは「Cost Down」を省略した言葉で、価値が低下しても材料や設計などで価格を抑える案のことを意味します。
高級クロス仕上げから、塗装仕上げへ変更するといったことがcd案となり、ve案とは異なる考え方です。
入札で必要となるve案
建築工事をどの業者に発注するのか決定するとき、入札という方法が使われます。
入札では、発注者が工事の概要や予定金額などを発表し、応募する業者から提案された内容で最も優れている業者を選択します。
しかしどの業者からも入札がない工事もあり、その背景には工事費が関係しているといえます。
発注者が提示した予定工事費と、業者が考える必要な工事が合わないからです。
このような場合、ve案で工事のコストや難易度を下げて、再度入札するといった対応が必要となるでしょう。
工事現場で必要となるve案
実際に工事が開始されてから、施工者から材質などを変更したいというveの提案を受けることもあります。ただしこの案が設計方針や機能に影響するときには、慎重な判断が必要です。