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建設工事で発生する騒音に対しクレームを受けたときの対応で基準にしたいこととは?

2022.01.23
分類:その他
建築物その他土地の造成を含む建設・解体・改修などの工事を行う場合には、工事に伴って発生する騒音・振動・粉じん・汚水によって、人の健康や生活環境に障害を及ぼさないように努めなければなりません。 建設作業で騒音・振動など著しく発生させる作業や、指定された地域での左記の作業を行うときには、事前に届出が必要であるだけでなく基準に従った工事が必要です。 建設工事における騒音や振動に対し、周辺住民などからクレームを受けることはめずらしいことではありませんが、その場合どのような対応が必要になるのか説明していきます。

騒音への対応は受任限度を基準に考えること

工事の騒音などについて、周辺住民からクレームを受けてしまったという場合に備え、まずは「受忍限度」という考え方を知っておきましょう。 「受忍限度論」とは、騒音・振動など生活環境に関連する問題について、近隣に与える不利益が一定限度を超える場合に限って損害賠償などの対象になるという考え方です。 騒音に対するクレームについて過去の判例でも、人が社会生活を営む以上、他の者が発する騒音にさらされることは避けられず、騒音の侵入が違法と判断するためには社会生活上、一般に受忍するべき限度を超えていなければならないとしています。 すべての騒音が損害賠償の対象になるわけではなく、受忍限度を超えているかどうかを基準として判断するべきです。 その上で、周辺住民から受けたクレームについて、どのような対応するべきか検討したほうがよいでしょう。

工事の騒音について周辺住民からクレームを受けたときの対応方法

もしも工事で発生させていた騒音が受忍限度を超えている場合には、防音対策を施し騒音レベルを下げることが必要となります。 もしも何の防音対策を行わずに工事を続け、周辺住民に訴えられてしまえば、慰謝料など損害賠償金を支払うように裁判所から命じられることになるでしょう。 発生させた騒音が受忍限度を超えていないときであっても、周辺住民から理解を得るために、できるかぎり防音対策を施し不快さを感じさせないよう努めることが望ましいといえます。 受忍限度を超えていなければ、法律上、損害賠償請求されることはないとも考えられます。 そのため万一金銭的な要求をされたとしても、断ることが正しいといえるでしょう。 しかし工事により発生した騒音で、近隣に対し不快な思いをさせたり迷惑をかけたりしたことに変わりはないため、低減させる努力は必要です。 騒音が受忍限度を超えるかが1つの基準ではありますが、近隣住民の理解があってこそスムーズな工事につながると認識しておくべきでしょう。