AIで自動車が自動運転化され、物流業界にも大きな影響があることが期待されていますが、実は欧州では無人運航船の開発が進められています。
もし実現すれば造船業界に与える影響は大きく、物流業界にも大きな変化をもたらすこととなるでしょう。
IoTやAIを活用した船舶運航を自律化させるという無人運航船。この研究・開発が進めているのはイギリスのロールスロイスで、概念定義や要素技術の開発などにいち早く取り組んでいたようです。
2017年10月には無人運航船のAI開発によりGoogleと提携を発表し、2020年までには地域海域における遠隔操作での船舶運航を目指しているとのこと。もうすぐそこまできている無人運航船の実現ですが、2030年には公海での遠隔操作船を、さらに2035年には無人運航船の実現が予測されています。
さらにノルウェーの窒素肥料大手メーカー・YARAでは、船舶システム開発・Kongsbergとタッグを組んで無人コンテナ船の開発を開始し、実証実験なども行われています。こちらも2020年には完全自律運航が実現されるという予定で、ノルウェー国内における無人コンテナ船を使った肥料輸送で年間4万回分のトラック輸送を削減することを進める考えのようです。
そして日本でもNTTと日本郵船の世界初といえる自動運航船の公海上実証実験など、自動運航船が普及する未来はすぐ近くまできている状態といえるでしょう。
実際に無人運航船の登場によって、港や航路のインフラ整備が必要となり、船員の役割も変わってくることになるはずです。
さらに新たな法律が制定され、観光振興や離島の経済にも変化が起きることも予想されます。
すでに色々な作業で自動化が進んでいる状況ですが、期待は高い一方で、無人運航船に求められる技術は自動車のケースより格段に多くなります。
航海計画や航路選定の自律化に、機関制御、見張りや管理、離接岸の自動化、船間や船と陸間の通信技術を高度化させるといった様々な技術の開発が求められることとなるのです。
特に日本はサイバーセキュリティなどの分野が弱いため、自律船を作ることばかりにとらわれず、安全に運航できる状況を確保させることを重視しなければなりません。
ただ、本当に実現すれば物流業界にも大きな影響を与えることになると予想され、造船大国日本のとっても大きなチャンスとなる可能性も出てくるでしょう。