運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業が経営を継続していくために必要なことは?

2017.06.05
分類:その他

トラック運送業界の全事業者の90%以上は、車両数50台以下の小規模な運送会社ですが、経営環境がけっして恵まれているとはいえなくても、色々なアイデアなどで頑張っている経営者も存在しています。
トラック輸送業界は機動性と柔軟性が優れていますので、国内貨物輸送の9割以上を担い、宅配便などの輸送サービスの提供、IT活用での効率化というように、豊かな社会生活や経済活動を維持するための必要不可欠な存在になっています。


なぜトラック運送業界では赤字経営が続く?
しかしトラック運送業界では、現在多くの事業者が経営赤字を抱えている状態です。低収益性の理由として、新規参入事業者数が急増したことで運賃水準が低下し、さらには燃料価格が上昇したことが挙げられます。
それに加えて、環境や安全対策、コンプライアンス遵守を確保するための整備に対するコストが増えたことも挙げられるでしょう。


事業者の規模からみた特徴
小規模から中規模まで、事業者の大きさや特徴は様々です。

・小規模事業者の特徴
10両未満の事業者である小規模事業者は、地域や荷主密着でありかゆい所に手が届くサービスを得意としています。運送事業の継続活動が必ず前提ではないでしょう。
家族が食べていけるだけの生計費分の収入を重視していますので、できるだけ投資をせずに負債を抱えないといった方針のようです。
ただし、トラック運送事業者としての社会的責任、安全対策、環境対策、法令遵守等といった最低限の取り組みは必須です。

・小中規模事業者の特徴
10~50両程度の事業者が該当する小~中規模事業者の場合には、世襲的に継承していく技術やノウハウを持っていることがほとんどです。
商売を継承していくことが前提ですので、収益黒字の継続体制、親族内後継者育成について重視しています。

・企業型の中規模業者の特徴
50~100両程度の事業者が該当する企業型の中規模業者の場合には、組織としての仕組みが導入されているため、従業員も経営者同様に能力を発揮することができます。
人材と組織を活かし、高度化と拡大を目指す再生産や再投資を含めた幅広い経営改善を継続して取り組むことを重視しています。


悪化する経営環境で成長する事業者の特徴
しかし運送業界は現在その経営環境が悪化しているといわれている中でも、持続的に成長している事業者もいます。
成長している事業者の特徴として、優秀な人材や活力のある組織を持っていること、さらには自社の強みを活かしながら企業努力でコスト構造に転換し、計数管理を導入しての運賃設定など、様々な取り組みを行っているようです。
中長期的に事業戦略や目標を持ちながら経営を行っている事業者こそが、持続的に成長している事業者だと言えるでしょう。


運送業界に残された問題とは?
成長する事業者の特徴からもわかるように、人材は企業にとって大きな財産です。しかし運送業界は、事業を受け継ぐシステムが出来上がっていない業界でもあります。
日本は高齢化が進んでいますので、今後は事業を継続する上での承継問題について早急に検討していくことが求められていくでしょう。