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運送業が繁閑時期に対応できるドライバーの年次有給休暇取得に                   つなげる方法

2023.08.03
分類:総務

運送業には繁閑時期があり、ドライバーが年次有給休暇を取得することで業務がスムーズに進まなくことがあります。

 そこで、繁忙期と閑散期に対応することを前提に、ドライバーの年次有給休暇を取得する時期をずらす方法を検討しましょう。

 そこで、運送業が事業を正常に運営するため、繁閑時期に対応するドライバーの年次有給休暇取得について解説していきます。

時季変更権を使った休暇取得時期変更

 仕事が多く繁忙期ともいえる状況において、従業員kら年次有給休暇を請求された場合、事業の正常な運営を妨げる場合の年次有給休暇時季を変更できる「時季変更権」が認められます。

 これは事業者に認められている権利ですが、あくまでも事業の正常な運営を妨げる場合に使えるため、行使できるかは事業規模・内容・業務の性質や内容・繁閑の程度・代替者の配置の難易度など総合して判断されます。

  

1年単位の変形労働時間制の導入による方法

 繁閑の程度による時季変更権の行使が厳しい場合には、労使間で協定を結び、1年単位の変形労働時間制を導入しておくのも方法の1つです。

 1か月を超え1年以内の一定期間を平均し、1週間あたりの労働時間が40時間を超えない定めをした場合、特定された週または日において140時間・1日8時間を超えた労働が可能となります。

 1年単位での期間を平均し、140時間であれば問題ないため、特定の日に10時間勤務となることや特定の週が50時間勤務となっても、時間外労働の賃金は発生しません。

 繁閑時期に合わせた勤務シフトを組むことができる制度といえますが、最長1年間の変形を許容する制度となっているため、4か月や半年などの期間でも採用が可能です。

 ただし1年単位の変形労働時間制においては、連続労働日数上限6日・110時間・152時間という上限を守ることが必要となります。

  

1年単位の変形労働時間制の労使協定内容

 1か月単位の変形労働時間制を導入する場合には、就業規則に定めておけば特に問題はありません。

 しかし1年単位の変形労働時間制を導入する場合には、労使間で協定を結んだ上で制度として定めることが必要になります。

 労使間での協定は、法律で求められている事項に関し、使用者と労働者の過半数代表者が協議を行って決めた内容を書面とする約束です。

 有効期限の設定や所轄の労働基準監督署に届出することも必要となりますが、業務の繁忙時期については「特定期間」として定めることができ、最大連続12日間勤務が可能となります。

 所定労働日数は1年あたり280日を上限とし、隔週週休2日制に合わせて7日(年間85日)を確保することも必要ですので、日数を超えないように注意しましょう。