運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業は請負?それとも委託?法的な位置づけは?

2017.08.25
分類:その他

運送業では荷主から仕事を請負業務で行うため下請け構造になっていると言えます。しかし請負ではなく委託になれば業界の問題はほとんど解決するかもしれません。
営業ナンバーのトラックを保有して産業廃棄物の収集運搬、または同様にバイクを保有して特定信書便などの事業を行うとします。しかしこれら産業廃棄物や到底信書便の基になる郵便法には委託の文言が並び、簡単に再委託できなくなっています。
その一方、運送業の場合は直取引の荷主などはほとんどおらず、トラックを持っていない運送会社がその業務を一括受注し、その下請けがトラックで実際の業務を行うといった構造が主になっています。


軽貨物のドライバーの位置付けは?
例えば軽貨物運送業のドライバーは、自分の車に営業ナンバーを付けて、運送会社の下請けとして働いています。業務を委託され請負い、依頼を受けた配送の仕事を行うという形です。
そのため請負でも委託でもあると言えますが、実際のところこのような実態は法的にはどのような位置づけなのでしょう。


民法上の請負と委託の定義
民法を確認してみると、請負と委託は債権法にそれぞれ規定されています。
民法によると請負とは、仕事の完成を約束した請負人に対して注文者が報酬を支払う形態のことを指すようです。ただし運送業が請負に該当するという規定は民法上にはありません。
委託の場合は語句での定義付けになりますが、委任を受けた受任者が委任の本旨に従い、善良な管理注意義務を負い事務処理を行うことが必要とされます。この注意義務とは、一般に委任契約の上で当事者間の信頼関係に基づくものと解されます。
これらを踏まえて考えると、民法上での荷主と運送事業者との契約は、仕事の完成という部分で見れば請負になるでしょうが、信頼関係という部分で見れば委託になると考えられます。


運送業はサービス業?
仕事の完成、そして信頼関係、どちらも業務を行う上で必要なことであるため、運送業では請負契約もあれば業務委託契約も存在するということになります。
運送業はサービス業だと捉える人もいるようですが、このような捉え方によって運送とは今の法律に規定のないサービス業(役務提供契約)なのか、それとも商法に根差す従来型の運送業なのか、さらに請負契約なのか委託契約なのかといった疑問へと繋がるとも言えます。


現在運送業が置かれている状況は…
産業廃棄物や特定信書便のような委託は、事業そのものが社会的支援され、携わる事業者も保護される側面があります。
現在の下請け構造が運送事業者にとって厳しい状況ですが、その理由として産業廃棄物や特定信書便のような委託と運送業において捉える委託とは違うものだということが挙げられるでしょう。