運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送業の生産性向上に必要な付加価値向上でできることとは?

2022.08.10
分類:経営

長時間労働なのに低賃金であることが問題視されているトラック運送業ですが、労働生産性を引き上げることで労働者の処遇が改善されると考えられます。

生産性向上に向けた推進に取り組んでいくことが必要ですが、そもそも物流の「生産性」で問題となっていることは何か、生産性向上に欠かせない付加価値向上のためにできることについて説明していきます。

そもそも「生産性」とは?

そもそも「生産性」とは、投入量に対する産出量の比率です。

投入量は「労働生産性」や「資本生産性」がその代表です。

産出量には「付加価値」や「GDP」が使われることが多いといえるでしょう。

「付加価値」とは

「付加価値」とは、自社の活動で生み出した価値のことで、生産額から仕入れ額などの中間投入分を差し引いた差分です。

付加価値を算定するときには、

・売上高から中間投入費目を引き算出する「減算方式」

・付加価値に相当する費目を足し算出する「加算方式」

に分けることができます。

実務では加算方式が用いられることが多く、対象となる費目として次の6つが挙げられます。

・利益

・人件費(給与など)

・租税公課(費用として計上される分)

・金利(金融費用)

・地代

・減価償却費

 

トラック運送業の付加価値・生産性改善でできること

物流業では総費用に占める人件費の割合が高いといえますが、特にトラック運送業は利益率の低さや地代などの負担が少ないことが特徴です。

そのため付加価値額を占める人件費の比率も高くなり、75%以上を占めている場合もあります。

売上から中間投入分を差し引いた部分が人件費に使われていることを意味し、付加価値を増やすことで生産性を改善させることと、人件費の時間単価を上げることが同じことであることも意味します。

 

付加価値を引き上げるための方策として考えられること

付加価値を引き上げるためには、たとえば次の取り組みが挙げられます。

・共同化や大型化など輸送効率を向上させること

・待機時間を削減するなど輸送条件を改善すること

・道路や建物などインフラ・施設を改善すること

特に効果が期待できるのは車両の大型化で、荷待ちや再配達削減なども必要といえます。

ただし輸送機能単体で付加価値を高めることは限界があると考えられるため、自動運転などの技術が取り入れられるまでは、低付加価値なサービスの仕組みを見直すことも検討が必要となるでしょう。