国土交通省が2019年1月にまとめたガイドライン(正式名称「トラック運送サービスを持続的に提供可能とするためのガイドライン」)によると、コストに関して荷主と運送事業者の共通理解が必要とされています。
そもそもガイドラインの策定は、法令順守のもとでトラック運送機能を確保し続けるためには、発生するコストについて荷主と運送事業者の両社が理解を示すことが必要と考えられたからです。
運送ドライバーの高齢化や、若い世代の入職者が増えないことにより、現場は労働力が足りていない状態となっています。
今後、運賃が適正範囲で設定されなければ、事業継続が難しくなる運送事業者も増えてしまうでしょう。
そこで、サービス提供における運賃値上げが必要な理由や、荷主と事業者に求められることについて解説していきます。
運送トラックの運賃は今後さらに値上げされる可能性も否定できません。
運賃値上げの背景には、ドライバーの給与をアップさせる原資が必要であることが関係します。
実際、トラック運送は過当競争で荷主と運送会社が交渉するたびに、運賃は下がっていたといえます。
荷主よりも立場の弱い運送会社は、低価格で充実したサービスを提供しなければ、契約を打ち切られてしまう恐れから値下げせざるを得なかったとも考えられます。
しかし運送トラックのドライバーは高齢化が進み、既存のドライバーが引退すれば今後はさらに人手不足に陥ることになるでしょう。
荷主から仕事を請けた運送会社が、下請業者に発注するケースにおいても同様です。
元請である運送会社同様に、下請運送会社も運賃を上げなければ、現場は回らなくなります。
下請運送会社に支払う報酬が上がった分、元請運送会社は荷主に運賃値上げを要求するしかなくないと考えられます。
トラック運送は需要と供給の強弱の差が激しく、荷主の立場の優位性で無理な要求なども受け入れてきた運送会社は多々あります。
しかし今後、同じ状況で仕事を請け負うことは難しく、トラック運送の継続も危ぶまれることから、国もガイドラインを策定したと考えられるでしょう。
運送トラックのドライバーの労働時間など、労務管理は運送会社が主体で行います。
しかし荷主も協力・配慮しなければ、ドライバーの労働環境は改善されることはないでしょう。
今後は荷主と運送会社が一体となり、ドライバーの労働時間他や法令順守を遂行することを徹底するべきといえます。