運送会社や物流会社の業績は依然として厳しい状況といわれているため、M&Aや買収の需要なども高まっていると考えられるでしょう。
近年では運送会社・物流会社のM&Aや買収も増加傾向にありますが、その背景には何があるのかご説明します。
近年実施された運送会社や物流会社のM&A・買収の例として挙げられるのが、2016年4月に名鉄運輸の株式20%を日本通運が獲得し資本業務提携を締結した例です。
他にも海外展開する準備として、日本郵政が豪州最大手トール・ホールディングス社の株式を2015年5月の買収した例もあります。
さらにサカイ引越センターは、2016年4月にSDホールディングスの株式を取得し子会社化を行いました。SDホールディングスをグループ内に入れることにより、清掃サービスの需要を確保し、引っ越しセンターとしての業績やブランドイメージを発展させることを狙ったとされています。
そして2018年3月には、丸和運輸機関がコープデリ生活協同組合連合会の商品個配事業をM&Aにより、首都圏での事業展開へと乗り出すこととなりました。
運送業界は業界全体に渡る赤字で縮小傾向が続いている状況です。それに加え、トラックドライバーの不足という問題が深刻化しており、解決されないままといえるでしょう。
運送会社・物流会社だけにとどまる問題ではなく、公共工事などで使われる資材の調達不足など、様々な産業にも影響を及ぼしてしまっています。
それに加え、インターネット通販などが急成長したことによって、運送会社や流通会社の競争も激化し単価を低下させてしまうことになりました。
人件費や運用にかかる費用などを確保することは難しい中で、ガソリン代など燃料費の高騰は自動車でモノを運ぶ運送会社・物流会社にとって影響が大きい部分といえます。
このような運送会社や物流会社の現状や動向を踏まえ、M&Aによる買収や吸収合併などを活用した業界再編が進んでいる状況です。
実際、運送会社や物流会社も少子高齢化による波が押し寄せ、現場で働く従業員が高齢化しています。高齢の方が行うには運送会社や物流会社の仕事は厳しいといえるため、若い世代を働き手として確保できず、後継者不足で事業を継承できないまま廃業してしまうケースも少なくないのです。
このような事業の継続が難しい状態に追い込まれている運送会社や物流会社などを対象として、買収需要が高まっているといえるでしょう。
主に大手の事業主が中心となり、販売を拡大させたりドライバーを確保したりという流れなのです。