近年ではどの業界でもデジタル化が進んでいますが、物流業の場合には基幹システムとなることもある在庫管理システムや配送管理システムのみ確認しても、実際に導入しているのは4割程度です。
約6割の物流企業はまだ導入していない状況ですが、主に中小物流企業が普及率を低下させていると考えられます。
ではなぜ、中小物流企業はデジタル化を進めないのか、進めることができないのでしょう。
中小物流企業でデジタル化が進まない理由として考えられるのが、内部(管理上層部)の問題といえます。
現代の中小物流企業では、短期・直接的なアプローチのみで事業を営んでいた時代の方が今の管理上層部に位置しており、現状維持から変化させることができないことが関係しているでしょう。
社外の専門家やコンサルタントなどを頼り助言を受けることもなく、売上部分でみてもメリットを感じられないといったこともあるようです。
たとえば10tトラックはすぐにお金を生むことができるものだけれど、システム投資はすぐにメリットを生み出せるものではないと考えてしまいます。
今まではそれでも十分対応できていたとしても、すでに情報化社会となっているため社会のスピードについていけなくなってしまうでしょう。
AIなど最新技術を差別化要因として導入を進めている中小企業もあります。それにより新たな価値を生み出すことができれば、顧客ニーズに対応できるだけでなく、業務を効率化でき生産性向上や作業スタッフの負担軽減にもつながるからでしょう。
物流業界で生き残るためには、費用対効果のみに着眼せず広角的に投資することも必要です。ただ、物流業務のすべてをシステム化させることがよいかといえばそうではありません。
倉庫の対応やドライバーの教育などは、人でしかできない部分であるため、差別化要因として最新技術に代替できない強みも残したほうがよいといえます。
最新技術により業務が効率化されれば、人手不足などの問題も解消できるはずです。現状維持では対応できない部分も、デジタル化により解決できることはあります。
物流業界は長時間労働など悪いイメージもついているため、その印象を払拭しなければ働き手を確保することにつながりません。
その糸口となるのがデジタル化であり、他業種よりも伸びしろが大きい業界なので、今からでも導入することを検討してみることも必要です。