トラック運送を事業とする自動車運送事業者は、ドライバーの過労運転を防ぎ安全を守るために、労働基準に従った勤務と乗務時間を定めることが必要です。
ただ、一旦トラックが事務所から出発し、その後、移動しながら業務を行うドライバーの勤怠について、その内容をすべて確実に把握することは難しい状況です。
そのため適正化に向けて、労務管理者はどのような対策を行えばよいか常に頭を悩ませることが多いといえます。
実際、長距離トラックを運行するドライバーなども、拘束時間、休息時間、連続運転時間などについて、働き方改革関連法を順守した業務にすることは難しいと感じていることも多いようです。
日本は少子高齢化が進んでおり、物流・運送業界でも人材不足とドライバーの高齢化が進んでいます。
将来的に労働人口は大幅に減少することが見込まれていますが、国内では多くの業界が人手不足に悩まされている状況です。
その中でも物流・運送業界はその問題が深刻化しており、どのように不足する人材を補うべきか考えなければなりません。
インターネットで気軽にモノが買えるようになり、物流業界や運送業界は仕事量が増え配送予定の荷物であふれかえっている状態です。
仕事量はこれまでより増えているのに人手が足らず、どのように対応すればよいのか頭を悩ませている業者や企業も少なくありません。
そのような状況の中で、長時間労働の是正が求められており、働き方改革により労働時間の見直しなどが求められています。
さらに2018年7月からは違反したトラック運送業者に対する行政処分が強化されています。働き方改革関連法により、時間外労働の上限規制が適用され、1か月60時間を超える法定時間外労働に対しての割増賃金率の適用など、さらに厳格な労働時間管理が求められることになりました。
トラックドライバーを対象とした「自動車運転者の労働時間などの改善のための基準」を基準にしなければならず、さらに労務管理を困難な状況にさせているのです。
そして労働基準以外にも、物流・運送業界の労務管理を困難にさせている要因として、ドライバーの直行直近などの自己申告が多く、正しい勤怠時間か把握しにくいことが挙げられます。
さらに正規雇用と非正規雇用のドライバーでは勤務時間も給与形態なども異なるため、複雑な勤怠パターンを管理と集計することが難しくなっている状況です。
運転日報やタイムカード入力を手書きで行うドライバーも少なくないため、ミスなどにより正しい管理ができないといった問題も起きています。
まずはこれらをどのように適正な状態にするかが大きなポイントとなるでしょう。