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運送業が勤務成績不良の従業員を解雇することは可能?職務遂行能力の判断基準とは

2023.09.07
分類:総務

長年に渡りドライバーとして働いていた社員が、腰痛など体調悪化を訴えるようになり、現場以外の事務方業務へ移動したいと希望しても、ドライバー不足の現状では対応できないことも少なくありません。

 しかしこのような状況を理由に、無断で現場に出ないなど勤務成績不良が続く場合には、解雇することは可能なのでしょうか。

 仕事に対するモチベーションが下がり、現場でトラブルなど起こす場合は特に、今後さらに問題行動が続くことを懸念して解雇も検討することになるでしょう。

 そこで、勤務成績不良の従業員を解雇することは可能なのか、職務遂行能力の判断基準について解説していきます。

労働者の労働義務

 労働者は、使用者である会社との労働契約に基づいて労働義務を負うことが労働契約法に規定されています。

 そのため従業員が労務を提供しないときには、労働義務を果たさない会社に対する債務不履行として扱われるため、会社も労働契約を解約して解雇することが認められます。

 ただ、解雇は客観的に見た場合でも合理的な理由があり、社会通念上相当とされる状況でなければ、権利濫用として無効になってしまうため注意しましょう。

 

 職務遂行能力を判断する基準

 労働者が労務を提供しない場合には、労働義務の債務不履行として扱われます。

 なお、職務遂行能力に関しては、従業員の従事している業務だけでなく、配置可能な業務も基準として判断されることになります。

  

職務遂行能力による解雇の可否

 職務遂行能力については、今従事している業務に限らず、配置可能な業務も基準として判断されますが、どのくらいの職務遂行能力不良の程度なら解雇対象となるのでしょう。

 過去の裁判例をみると、次の事情を考慮した上で勤務成績や勤務態度不良を理由として解雇した場合でも無効とされています。

 ・会社経営・運営に対する現実の支障・損害または重大な損害のおそれがあり、会社からの排除が必要であること

・注意したのにも関わらず改善されないなど、今後も改善の見込みがない

・会社側に不当な人事はなかった

・配転や降格の可能性

 そのため従業員が今の配置されている現場で業務上のトラブルを起こしていた場合でも、トラブルなどを理由に労務の提供がされないと判断し、解雇することは困難であると考えられます。

 事実関係を具体的に把握し、本人に注意・指導を行った上での配置転換や改善に向けて対応が必要となるでしょう。