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運送業の有給休暇取得率と年次有給休暇取得義務化についてわかりやすく解説

2023.10.07
分類:総務

運送業で働く従業員が年次有給休暇を取得する場合、使用者がその権利を制限することはできません。

 しかし運送業は人手不足が慢性化しているため、誰か一人が休暇を取得すれば他の従業員の負担が重くなることは考えられるため、気軽に年次有給休暇を取得しにくい場合もあるでしょう。

 ただ、最低でも年5日は年次有給休暇を取得させなければならないことが事業者には義務付けられているため、人手不足を理由とした有給休暇取得の制限はできません。

 そこで、実際のところ運送業の有給休暇取得率はどのくらいの割合なのか、年次有給休暇取得義務化についてわかりやすく解説していきます。

年次有給休暇とは

 「年次有給休暇」とは、労働基準法で定めによる労働者の権利の1つであり、労働者に対し付与される休暇です。

 取得する権利が労働者に認められているため、休暇取得中にも賃金は発生します。

 有給休暇が付与されるのは、半年間継続した雇用と全労働日の8割以上出勤するという2つを満たした労働者です。

 社員やパートなど、正社員以外の雇用形態の方でも付与される休暇であり、働きやすい環境づくりの一環として付与することが求められます。

 

 運送業の有給休暇取得率の推移

 運送業の「有給休暇取得率」は、決して高いとはいえません。

 有給休暇取得率とは、労働者に対し1年間で付与した有給休暇のうち、どのくらい取得されたかを示す割合です。

 有給休暇取得率は、以下の計算式で算出できます。

 取得率(%)=すべての雇用者の有給休暇取得日数計÷すべての雇用者の有給休暇付与日数計×100

 運送業の有給休暇取得率は、運輸業・郵便業の業種でみると約6割であり、平均をやや上回っているものの満足度にはつながっていません。

 働き方改革が進められていることで、有給休暇取得を促進する運送業も増えているといえますが、従業員も自身のライフワーク・バランスを考えた上で取得することになります。

 ただ、健康に働き続けるためには必要不可欠な制度といえるため、確実に取得することが大切です。

 

 年次有給休暇義務化とは

 20244月からは、運送業でも時間外労働の年間960時間の罰則付き上限規制が適用されることになります。

 運送ドライバーの場合には、休日出勤は時間外労働の範囲には含まれないなど一般企業の時間外労働の上限規制とは異なる扱いがされています。

 ただし年5日間という有給休暇取得の義務化については、運送業も遵守しなければなりませんので、年10日以上年次有給休暇が付与されている従業員がいるときには注意してください。