本来であれば政府が行うことになる健康保険事業を、政府に代わり事業所の実態に即して運営しているのが「東京貨物運送健康保険組合」です。
東京都内にある中小の貨物運送事業者たちが集まり、昭和36年に設立された団体ですが、そもそも「健康保険」とはどのような仕組みなのか、運営されている目的などについて解説していきます。
日常生活を送る上で、自身や家族がケガを負うことや病気になれば治療費がかかり、さらに出産するときや亡くなったときの葬式などにもお金がかかります。
必要なときにお金がなければ、適切な治療を受けることもできず、出産や葬式などもできなくなってしまうでしょう。
そこで、不時の出費に備えるため、職場で働く方たちが保険料を出し合って、ケガや病気、出産や死亡などのときに互いの生活を支えあうための制度が健康保険です。
健康保険では、保険に加入している被保険者とその家族が、仕事以外(業務・通勤災害以外)でケガや病気で治療などが必要となったとき、診療の自己負担以外の費用を保険給付しています。
また、病気などで仕事を長期休業するときや、出産や死亡の際にも給付金を支給しています。
保険給付の方法は、
・保険医療機関で治療自体を給付する現物給付
・法律で定められた一定額を支給する現金給付
の2つです。
ケガや病気による給付割合は、70歳に達するまで年齢ごとに分類され、70歳以降は所得により区分されます。
事業所が人を雇用すると、健康保険組合に加入していることの証明である「健康保険被保険者証(保険証)」が交付されます。
その保険証を医療機関に持参することで、ケガや病気による診療を医療費の一部負担のみで受けることができます。
保険証は身分証明としても使わるため、大切に保管し貸し借りなどしないように従業員に伝えておくようにしましょう。
また、紛失・破損の際には再交付が必要であり、氏名が変わったときには届出も必要です。
扶養を外れた被扶養者がいるときには、5日以内に届出を行い、対象となる方の保険証を返却してもらうことも必要です。
事業所を退職する従業員には、被保険者と被扶養者両方の保険証を忘れず返却してもらうようにしましょう。
なお、70歳以上の加入者には、「高齢受給者証」が交付されます。