運送トラックが1年間に運ぶ荷物は35億個を超えるといわれていますが、1日に80万個以上の荷物が配送されているといえます。
近年ではECサイトが普及したことで、さらにその個数は増えているといえますが、これほど多くの荷物が移動していれば配送途中に商品の破損など事故が起きてしまうことも十分に考えられます。
そこで、運送業者が配送途中に商品を破損させてしまった場合には、どのようにその補償がされることになるのか説明していきます。
配送途中で商品が破損してしまったとき、実際には確認から補償されるまで2週間から1か月半程度かかることが多いようです。
そして破損した商品が高額なときには、配送業者が独自に価格調査することもあります。
配送業者が補償する範囲は、多くの場合で「利用約款」などに記載されています。
たとえば「日本郵便」の「ゆうパック」の場合は、利用約款の第27条に次のような記載がされています。
“第27条(損害賠償の額)
当社は、荷物の滅失による損害については、荷物の価格(発送地における荷物の価格をいいます。以下同じとします。)を送り状に記載された責任限度額の範囲内で賠償します。
2当社は、荷物のき損による損害については、荷物の価格を基準としてき損の程度に応じ限度額の範囲内で賠償します。“
この利用約款の内容は2015年12月時点のものですが、責任限度額はセキュリティサービスがついているかなど、提供されるサービス内容により異なってきます。
通常であれば30万円を限度とした実損額が補償されるものの、次のようなケースでは補償の対象から外れてしまいます。
・配送に注意が必要な商品なのに、送り主から配送業者にその通知をしていなかったとき
・荷受人に荷物を引き渡した日から14日以内に連絡しなかったとき
・荷受人が荷物を受け取って1年以上が経過したとき
これらのことから、もしも商品に損傷や不具合が発見されたときには、すぐに連絡してもらうことが必要です。
外装は傷がないのに中の商品のみ破損していたという場合、配送のときの振動や過度な梱包による圧迫などが理由と考えられるケースもあれば、もともと中身が壊れていたなど配送業者には落ち度が認められないケースもあります。
そのため上記の補償対象外となる期間までに届け出をしていたとしても、補償を必ず受けることができるわけではありません。