重大な災害や事故には至らなかったものの、その一歩手前で結果、事故に至らなかった事例をヒヤリハットといいます。
ヒヤリハットが報告されずに見過ごされてしまうと、運送ドライバー1人が起こした事故で大きな損害を抱えることとなり、最悪の場合には廃業にまで追い込まれてしまいます。
そのため、運送業界でも重要視しドライバーにはヒヤリハットを定期的に報告してもらうようにしましょう。
ヒヤリハットとは、
「1回の重大事故の背景には29回の軽度事故と300回のニアミスが存在する」
というハインリッヒの法則によるものです。
軽度な事故やニアミスを防ぐことが重大事故を回避することにつながるといえますが、実際の事例はドライバー同士が情報共有できるように、レポートなどで報告してもらうことが必要といえます。
ヒヤリハットの報告は、
・いつ(when)
・どこで(where)
・だれが(who)
・なにを(what)
・なぜ(why)
・どのように(how)
という5w1hを基本に記載してもらいましょう。
それにより、ヒヤリハットの状況を可視化できます。
その上でヒヤリハットが発生したときの状況確認のため、
・作業環境
・作業方法
・設備機器
などを見直しましょう。
報告書提出したドライバー個人の責任は追及しないようにし、あくまでも原因分析や改善策を検討することを目的としてください。
どの業界でもヒヤリハットについて確認していくことは必要ですが、運送業界で多く報告される事例は主に次のとおりです。
トラックを走行しているときの気温が低く、路面が凍結していたためにカーブを曲り切れず、スリップして反対車線へはみ出してしまうという事例です。カーブを曲がるときには十分に減速し、安全運転に努めるようにしましょう。
前方を走行していたバスが停留場に停車しようとしたため、追い越しをかけたら前方からの対向車に気がつき、急ブレーキを踏んで左に寄ると停車したバスに追突しそうになったという事例です。車間距離は十分に取り、対向車がいないか確認して追い越すことが重要であり、もし車間距離が取れなければ追い越しはしないようにしましょう。
荷卸後にトラックをバックで移動しようとしたとき、作業員が荷卸用にトラック後方に設置していた脚立を片づけようと近づいたため、危うく接触しそうになったという事例です。
トラックをバックで移動させるときには、周辺・上下・通路などの状況を十分に確認しておくことが必要といえます。