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運送業の打切補償とは?業務上のケガや病気の治療が終わらないときの制度を解説

2023.11.08
分類:総務

運送業で働いている従業員が、業務上のケガや病気で休業・治療していても、治療が終わらなかったときには永久に補償しなければならないわけではありません。

 打切補償とは、業務上のケガや病気で休業・治療している従業員が、治療開始から3年経過しても治療が終わらない場合、平均賃金の1200日分を支払うことで補償終了にできる制度です。

 労働基準法にも定められている制度であるため、3年経っても治らないのであれば、以降の補償責任は免れることができます。

 そこで、運送業の打切補償について、その制度や内容について解説していきます。

打切補償とは

 「打切補償」とは、療養・補償している期間が3年経過しても、業務中または通勤中にケガや病気になった従業員の傷病が治らない場合、平均賃金の1200日分を支給することによって以降の補償責任を免れることができる制度です。

 業務中や通勤中に負ったケガや病気については、その補償責任は使用者にあるとされていますが、実質的には労災保険で補償されることになります。

 打切補償で補償責任から免れたくても、平均賃金の1200日分を支払うことは大きな負担です。

 そのため、傷病に関する療養を開始してから1年6か月を過ぎてもケガや病気が治らない場合には、労働基準監督署が従業員の傷病等級によって「傷病補償年金」を支給するか判断します。

 仮に支給が決定すれば、補償は傷病補償年金へと切り替わります。

  

療養中の従業員の解雇について

 労災によりケガを負ったり病気になったりした従業員については、療養中と療養終了後30日間は解雇できません。

 ただ、打切補償を支払うことにより解雇制限は適用されなくなります。

 そのため療養補償を支払うことが免除されると同時に、対象の従業員を解雇することも可能です。

 この仕組みは、事業者の長期負担を軽減しながら、従業員にも一定の給付を補償するためといえるでしょう。

 また、療養開始から3年経過後に打切補償を行ったときにも解雇制限が解除されるため、療養中の従業員を解雇することができます。

 

打切補償を支払った後の退職金の支給について

 業務中や通勤中の災害により、ケガや病気で療養している従業員に対し、打切補償を支払って解雇する場合でも、退職金は支払う義務があります。

 退職金は、在職中の功績に対する労いや賃金の後払いなどの性質があるため、制度として設けているときには支払うことが必要です。