日本の物流業界では貨物の盗難のリスクは比較的低めですが、海外では暴力を伴う盗難などもみられます。物流もグローバル化している状況で、この貨物盗難のリスクも無視することはできません。
貨物が盗難に遭えば、物流会社は多大な損害を被ることになってしまいますので、そのようなリスクを発生させない対策が重要になります。
そこで、海外の貨物盗難とはどのような状況において発生するのか、その内容を把握しておくようにしましょう。
世界的に見た場合、暴力を伴う貨物盗難はフランスやイタリア、ロシア、南アフリカで多いようです。ドイツや英国などでも発生しているので、どの国だから安全と考えるのはできなくなってきています。
盗難する機会が目の前にあったから起きたというケースが多く、駐車場や高速道路のサービスステーションなど、セキュリティが甘い場所でドライバーが寝ている間に発生しています。
車のバックドアをこじ開けられ、トラックの幌のキャンバスが切り裂かれるといった悪質で乱暴な手口が多くみられることが特徴です。
なお、狙われやすい物品としては、食料品や飲料水、続いて電化製品や衣料品・靴となっています。高価ではなくてもすぐ消費できるものが多いといえるでしょう。
その理由として、食べ物にはシリアルナンバーがついていないことが一般的ですし、ナッツなども情報を読み取るRFIDタグが袋の中にまで隠されていることはないと考えるからのようです。
インターネットなどで販売されているナッツがどこから得たものか、さかのぼって追跡されることもまずないだろうと考えられることが原因といえます。
その一方で、テレビやパソコンなどの電化製品なら証拠品が長く残ってしまいますが、食料品は消費するものなので食べればなくなるということも狙われる要因になっているようです。
貨物盗難を防ぐためには、盗まれやすい状況をつくらないこと、そして盗みやすい条件を減らすことです。
セキュリティを強化したボディのトラックの使用や、休憩のタイミングでは道路の待避スペースではなく、交通量の多い有線テレビシステムが設置されている駐車場など、できる限り貨物にアクセスしにくい場所に停める配慮が必要になります。ちょっとした隙もつくらないことが、貨物の盗難を防ぐ上で重要なのです。