2022年10月、国土交通省は運送事業の手段として乗用車タイプの軽自動車の使用について解禁しました。
従来までは商用車タイプに限定されていた配送事業手段は、乗用車タイプの軽自動車でも可能となるため、手段の幅を広げた運送が可能となります。
運送業の経営安定化や新規参入などを促すことにつながると考えられる軽貨物運送の車両自由化ですが、軽乗用車も宅配使用が可能となった背景について説明します。
軽貨物ドライバーは、過重労働や長時間労働が社会的な問題とされる中で、慢性的に不足している仕事です。
そこで、個人配達員が他人のIDカードを使って勤務時間を改ざんするといった問題が起こる前に、国土交通省が2022年10月から実施したのが軽貨物運送の車両自由化といえます。
普段は買い物などで使用している軽自動車の乗用車で軽貨物運送を始めるのなら、運輸局で事業用の車両として登録しましょう。
軽貨物の配送においては、「貨物軽自動車運送事業」の届出を提出し、事業用の黒ナンバーを取得することが必要となります。
事業用登録を行うと黄色ナンバーから黒ナンバーに変更されます。
従来までは、車検証の用途欄に「貨物」の記載がなければ、軽貨物事業は不可とされていました。
乗用車で軽貨物運送を行いたい場合、後部座席を外すといった改造を施し、軽自動車検査協会で構造等変更検査を受けて合格した後、用途を「乗用」から「貨物」へ変更することも必要でした。
しかし車両自由化によって、軽乗用車でも軽貨物運送が可能となり、わざわざ改造する必要もなくなっています。
軽貨物運送で仕事をする場合、求人サイトや知人の紹介などで求人情報を閲覧し、応募することになります。
軽貨物車両・車庫・普通自動車免許があれば始めることができることや、届出制であるため個人開業のハードルはけっして高くないといえます。
軽貨物運送の車両自由化によって、すでに所有している軽乗用車を使った軽貨物運送への参入が可能となりました。
副業などで収入を増やしやすくなることで、コロナ禍のあおりで仕事を失った方や、正社員からパートへと雇用形態が変わった方の助けにもなるでしょう。
長時間労働のイメージが強かった軽貨物配送も、配送員が増えることで専業ドライバーの負荷が軽減されるとも考えられます。