先進的な物流施設に対する需要が高まっている状態で、物流業者や荷主の積極的な物流機能を強化する傾向が高まっているといえます。
革新的な物流ネットワークを構築しようとする背景には、物流に対する需要者層が変わっていること、インターネット通販市場が拡大されたこと、単身世帯の増加などで消費者の購買スタイルが変わっていることが関係します。
これらによって、小口で頻度の高い輸送ニーズが向上し、今の状況での対応では苦しいと考えられているからです。
すでに上場している企業なども、新たな物流施設を増設するという動きがみられるのは、この多様化するニーズに対応するためといえるでしょう。
荷主側の小売業では、インターネット販売が増えたことで通販事業者から個人に向けた宅配が急増している状況です。さらに小型スーパーやコンビニなども増えていることから、小口で頻度の多い輸送ばかりが増加しているといえるでしょう。
そのため店舗網拡大や効率化を検討し、商品の保管機能や配送機能を高めるといったことを進めています。
そして物流業者でも、大量の荷物を短い期間で処理可能とする、保管・流通加工の機能を備えた物流施設を新設させている傾向が高まっているようです。
物流不動産開発においては、商社、外資系企業、大手独立系企業、大手総合デベロッパーなどが参入している状況です。
J-REITでもGLP投資法人、大和ハウスリート投資法人、日本プロロジスリート投資法人が物流施設に特化し、すでに上場に至っています。
さらに賃貸用物流施設における外資系企業では、SGX上場のGLP、NYSE上場のプロロジスやラサール、ASX上場のグッドマンなどが高い実績を誇っています。
物流施設は従来まで、倉庫会社や物流運送会社が所有しており、小売りや卸し、メーカーなどの一般企業と契約する倉庫がほとんどでした。
しかし1999年にプロロジスが進出してからは、不動産開発会社や投資会社が所有するようになり、荷主や3PL物流会社と契約する賃貸物流施設が増えています。
賃貸物流施設は、多数の顧客に対して物流スペースを賃貸するマルチテナント型、特定業者に物流施設を開発し賃貸するビルド・トゥ・スーツ型、施設を保有する企業から譲渡を受け再賃貸するセール・アンド・リースバック型などがあります。
不動産物流の需要は堅調な動向がみられますが、開発エリアや案件も多様化している上に、人手不足を背景とする運賃や人件費の上昇など賃料を上昇させる材料がそろっているため、テナント側では懸念されるところといえるでしょう。