現在、日本における物流政策は平成30年1月に政府が策定した「総合物流施策大綱」に沿って実施されています。これは2017年度から2020年度の内容となっていて、将来的な物流に対しての新たなニーズに応えることができるよう、日本の経済成長と人々の生活を持続的に支える物流実現にむけた取り組みとなっています。
そこで、政府が取り組みとして推進しようとしている総合物流施策大綱とはどのような内容なのか把握しておきましょう。
総合物流施策大綱は、次の6つの視点から取り組みを行うことを推進している内容となっています。
・サプライチェーン全体の効率化・価値創造に資するとともにそれ自体が高い付加価値を生み出す物流への変革(=繋がる)~競争から共創へ~
・物流の透明化・効率化とそれを通じた働き方改革の実現(=見える)
・ストック効果発現等のインフラの機能強化による効率的な物流の実現(=支える)
~ハードインフラ・ソフトインフラ一体となった社会インフラとしての機能向上~
・災害等のリスク・地球環境問題に対応するサステイナブルな物流の構築(=備える)
・新技術(IoT、BD、AI等)の活用による“物流革命”(=革命的に変化する)
・人材の確保・育成、物流への理解を深めるための国民への啓発活動等(=育てる)
この総合物流施策大綱について、政府は2020年3月27日、国土交通・経済産業など関係省庁幹部で総合物流施策推進会議を開催し、従来の総合物流施策大綱も盛り込んだ「総合物流施策推進プログラム」の見直しを行うことで合意しました。
2020年度も見直されたプログラムに基づき施策を進め、その実施状況と成果により2021年度以降の次期総合物流施策大綱策定に向けた議論を行うという形にしたようです。
自動運転で運送効率を向上させたり、ドローンを使ったり、それぞれの施策が過去1年に渡りプログラムに従って着実に実施されていることを確認したとしています。
そこで、労働力不足など環境変化なども踏まえながら、新しく荷待ち時間が特に長時間におよぶ輸送分野などでの取り組みを推進するなど、7つの施策が追加されています。
他にも新しく加えられた内容として、
・港湾の完全電子化推進
・ホワイト物流を展開
・ホワイト経営を見える化
・トラック運送業で女性など多様な人材確保に向けた環境の整備
・空港の防災や減災への対策
・物流や商流情報を見える化しデータプラットフォームを構築する
などが挙げられます。
トラック運送事業者と荷主企業のどちらもが、運送事業のコストの構成について共通した理解を深めることができるよう、ガイドラインを周知していくとされています。