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トラック運転者の労災事故が多発!?その理由と現状とは?

2016.07.19
分類:その他

長時間労働の実態により、過労が原因で脳や心臓疾患など労災請求が多いといわれるトラック運送事業ですが、過労運転で交通事故が発生した場合、トラックを運転していた者だけでなく第三者に被害が及ぶこともあります。

 

 

トラック運転者の労働環境

 労災事故は荷役作業中にも多発しているため、労働環境を改善していく必要があります。また、トラックの運転者が長時間労働を行う背景には、荷主の配達や集荷の時間に制限があることがあげられます。

 

トラック運転者の労働時間

 全産業での年間総実労働時間に対して運輸業は350時間以上長いこともわかっています。そのような長時間労働によって過重労働となり、そのことが原因で脳や心臓疾患を発症した場合には業務上の疾病として取り扱われます。全国的に見ても、貨物運送業は脳や心臓疾患の労災請求件数がもっとも多い業種といえるでしょう。トラックの運転者を含む交通運輸や貨物運送業で勤務する人の労働災害発生件数は、全体の約17%を占め、140人中1人の割合で被災したことになります。トラック運送業での労働災害は、6割以上が荷物の積み卸し中に起きています。このような荷役作業中の労働災害は、配送先での転落や墜落によるものが一番多いようです。トラック運送事業者は、今後労働条件の見直しや改善、労働災害防止のためにどのような対策を行うかを検討していく必要があります。

 

荷主の協力が必要

 長時間労働になる理由の1つには、集荷や配達時間等の厳しい条件があげられます。荷主から条件の指定が行われることで移動や行動に制限がかかるためです。労働時間を改善するために、発注条件に配慮してもらえるように荷主に要請することが必要となるでしょう。そして荷物の積みおろしなどの荷役作業時に起きる労働災害を防ぐためには、作業場所になる荷主が積極的に関わることが必要となります。

 

荷主側で行ってもらうべき対策

 荷役作業時に労働災害が起きることを予防するためには、次のような対策が必要となります。

・安全管理体制の整備

荷主側で荷役災害防止の担当者を設定し、荷役作業についての連絡、調整、巡視を行うように協力してもらうことが必要です。

・墜落防止対策

昇降設備、フックや親綱などの安全帯の設置、荷台やプラットホームなどでの墜落・転

落を防止するための設備の準備をしてもらうことが必要です。

・フォークリフトによる労働災害防止対策

制限速度や安全通路の確保など、フォークリフトを使用するためのルールを定める必要があります。また、通路の死角にはミラーを設置するなども必要となるでしょう。フォークリフトが走行する場所と、歩行通路を区分するといった協力が必要になります。

 

トラック運転者の労災事故を防ぐために

 トラック運転者は過酷な労働条件の中で勤務しているため、労働災害も非常に多いといえるでしょう。改善するためには、自社の労働条件の見直しに加えて荷主側の体制整備を協力してもらうことも必要となります。