運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

引越し業者が運送中に起きた荷物の破損は誰の責任?

2017.06.19
分類:その他

運送業にも様々な種類がありますが、その中で引越し業務を行う運送業の場合には、引越しの最中に顧客の荷物の紛失や破損といったトラブルが生じてしまうこともあります。
この引越時に発生するトラブルに備えて、多くの業者は「運送業者貨物賠償責任保険」に加入しています。賠償責任に備える保険ですが、その内容について理解を深めておくと良いでしょう。


運送業者貨物賠償責任保険とはどんな保険?
運送作業中は、委託された荷物に紛失や破損というトラブルが生じた場合には、依頼主に対して損害賠償責任が発生します。この賠償責任をカバーする保険が運送業者貨物賠償責任保険です。
運送業者貨物賠償責任保険の補償額の上限は一般的に1,000万円になっています。そのため300~1,000万円くらいを補償範囲とした内容で加入していることが多いようです。
また、補償対象となるものとならないものがありますので、補償の範囲について理解しておきましょう。


運送業者貨物賠償責任保険の補償の範囲
例えば引越し荷物の積み込みや荷降ろし中、輸送や保管中に偶然起きた事故であれば補償されます。しかし運送業者側に故意や重大な過失がある場合や、依頼主の故意での事故や荷物の破損については補償されません。
依頼前に既に荷物に品質不良や破損が生じていた場合や、自然消耗、本質的な性質や欠陥による損害なども補償の対象外です。
また、地震・噴火・津波などの自然災害による事故や、戦争・軍事活動、テロ行為、ストライキ、暴動などによる損害も対象外になります。


運送業者貨物賠償責任保険で補償されない荷物とは?
どのような荷物でも補償されるわけではなく、貴金属や美術品、骨董品、現金、有価証券類、設計図や帳簿類、また、法に触れるものや公序良俗に反するものについては補償されません。
さらに補償される範囲が限定される荷物もあります。保険金が支払われる際に個別に規定があるものとして、生動物、青果物や植物、生鮮食品、保冷・保温・冷凍・冷蔵貨物、自転車・バイク、ばら積みの荷物などです。また、補償額の上限や範囲は異なる場合があります。


保険で備えることができる業務を遂行すること
運送業者の故意や過失で生じた損害については、保険会社ではなく運送業者が賠償することになります。そのため保険に加入し備えると同時に、故意や過失での損害が生じないような取り組みも必要となるでしょう。


トラブルを未然に防ぐために
引越し業務を担う運送業者のトラックが追突事故に巻き込まれ、運送中の荷物や家具などに破損が生じた場合、または荷造りした段ボールには外損がないけれど荷物だけが破損していたというケースは、運送業者の過失とは認められずに補償されないということが考えられます。
どこまでが補償の範囲になるかについても、トラブルを未然に防ぐために事前に確認して契約内容に組み込んでおく必要もあると言えるでしょう。