運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送会社の荷物の破損や配送の遅延は賠償責任を負う?

2017.06.26
分類:その他

宅配便などの業者は、常に荷物を個別に配送するため破損や汚損、紛失、運送の遅延など様々な事故が起きる可能性があります。
どこまで運送会社が責任を負うかについては、約款などで規定をしておくことも重要になるでしょう。
顧客自身もこのような場合に対応するため、保険などで備えておく必要があると考えられますが、顧客目線で考えた場合に備えとして加入できる保険には「運送保険」があります。
この運送保険はどのような事故に対応するのか、対応できない事故のケースなどについて理解しておきましょう。


運送保険とは?
運送保険は運送業を営む業者にとって重要な保険だと言えます。事故で荷物が損害を受ければ損害賠償責任を負うことになる可能性があるからです。
運送保険は輸送中の盗難・破損などでの貨物の損害を補償しますので、高額で壊れやすい荷物は特に加入しておいたほうが良いでしょう。


実際に事故が発生したら?
事故が発生した場合、運送契約の範囲内で運送会社が賠償義務を負います。運送契約の内容に、台風での高潮で物流施設が冠水するといった天災や、配送トラックが追突され荷物が大破するといった不可抗力などは、運送約款に賠償範囲に該当しないと規定していれば損害賠償の対象にはなりません。
また、荷物1個に対する責任限度額なども設定するケースが多いですが、運送保険に加入することで荷物に事故が発生した時には設定した保険金額の範囲内で顧客が補償を受けることができるという保険です。
ただし加入保険料は顧客が負担することになるため、顧客が任意で加入することになります。


運送保険の補償内容とは
偶然な事故で生じた貨物の損害を補償しますが、保険金が支払われるケースとそうでないケースがあります。

●保険金が支払われる損害
荷物を輸送中に発生した偶然や外来の事故で、荷物が盗難・紛失に遭った場合や、破損、汚損、水濡れ、火災による損害を負った場合に補償されます。

●保険金が支払われない損害
・保険の契約者、被保険者、受取人やそれぞれの法定代理人、使用人の故意または重大な過失による損害
・自然消耗や腐敗、さび、むれ、変色、変質など、荷物の性質による損害
・梱包が不完全だったことによる損害
・運送の遅延による損害
・慰謝料、違約金などの間接損害
・地震、噴火、戦争・内乱、検疫、公権力による処分による損害


顧客にも保険で備える重要性の理解を促すこと
顧客自身も荷物に対して補償に備えることが必要だと言えますが、上記にあるように保険では運送の遅延による損害に対しては補償されません。
配達が遅延してしまうのは、交通事情のように運送会社ではコントロールできない要因を含むケースもあります。どこまでを責任として負うかは約款などに記載しておくことが必要になるでしょう。