運送中の貨物に対する事故に備えて加入しておきたい保険とは?
国内で加入できる運送保険は、大きく2種類に分けることができます。それぞれ加入する目的が異なりますが、運送にとって重要な保険ですので、その内容を把握しておくようにしておきましょう。
荷主が加入する物保険「物流総合保険」
荷主が国内での運送貨物に対して加入する保険で、保険会社によって名称は異なりますが、代表的な保険として「物流総合保険」や「国内貨物総合保険」などが挙げられます。
□物流総合保険の特徴
輸送時や、保管中、加工中の原材料や部品、製品・半製品などを1年間、包括的に補償する保険です。付保漏れなどの心配がなく、契約管理など手間が掛からない事も特徴といえます。
□物流総合保険の補償内容
輸送中や保管中、工場や委託加工工場での加工中も補償される保険で、火災や爆発、風災、水災、破損、盗難など、偶然な事故で生じた損害が補償対象です。
補償対象であれば、臨時費用保険金と残存物取片付け費用保険金に加え、検査費用保険金も支払われます。
輸送中のみ補償する形で加入はできますが、保管中や加工中のみに限定した加入はできず、保管場所や加工工場も特定して加入することが必要です。
また、貨幣類や有価証券、宝石、貴金属、自動車、植物や動物、什器備品や個人の家財など、貨物でも保険の対象にできないものがあるので注意しましょう。
運送業者が契約する「運送業者貨物賠償保険」
運送業者自らが引き受けた貨物に損害が発生した時のために加入しておきたい保険が賠償責任保険です。
貨物に損害が生じ、荷主や元請運送人に対する損害賠償責任を負うことになった時に補償される保険ですが、代表的な保険として、「運送業者貨物賠償保険」が挙げられます。
□運送業者貨物賠償保険の特徴
国内各地、相互間、すべての輸送について1年間包括して補償されます。
支払限度額を限度に、実際の損害額から自己負担する免責金額を差し引いた額が保険金として支払われます。保険期間中であれば、事故が何度怒っても支払い限度額が減額されないのも特徴です。
なお、保険料はトラック1台ごとに算出されます。
□運送業者貨物賠償保険の補償内容
全車両を包括して補償する契約方式と、一部の車両が補償される個別方式があり、引受方式によって責任の始期や終期は異なる点に注意しましょう。
包括方式は運送業者が所有するトラック全車両をまとめて契約する方式で、事業所ごとにまとめて契約することもできます。
責任の始期は、荷主または他の運送人から貨物を受け取った時で、荷受人または他の運送人に貨物が引き渡された時を責任の終期とします。
個別方式は運送業者が所有するトラックの一部車両のみに対して契約する方式です。
責任の始期はトラックに貨物を積み込む作業を始めた時で、荷受人または他の運送人に貨物が引き渡された時が責任の終期です。