運送業者が注視しておきたい改正された法令の内容とは?
2018年12月8日、参院本会議で「改正貨物自動車運送事業法(改正貨物事業法)」が可決となり、運送業者で働くトラックドライバーの労働条件が改善され、事業者が健全に経営できるような効果が期待されています。
もともと貨物事業法は1989年12月に施行された法律で、運送事業者が適正で合理的な運営をできるように制定されました。
今回の改正は、2019年4月に施行された働き方関連改革法により、令和6年から時間外労働の限度時間が制定されることに関係します。
改正貨物事業法の内容
運送業者で働くトラックドライバーは現在不足の状態のため、労働条件を改善することも必要であるとされています。
さらに安全な輸送の確保と、貨物自動車運送事業が健全に発達することを目的として施行されます。
今回の改正により、どこが変わったかを一部ご紹介するので確認しておきましょう。
規制の適正化
法令に違反した場合の参入は厳格化されており、欠格期間は2年から5年に延長されています。また、処分を逃れようと自主廃業を行った場合や、親会社などが許可の取消処分を受けた場合の参入制限もされています。
荷待時間や追加する附帯業務などは見える化を図るとされました。対価を伴わない役務が発生しないような基準が明確化され、例えば運賃と料金とを分別して収受することなどが必要となります。
荷主対策の深度化
実際、過労運転や過積載などについては、運送業者の努力だけではどうにもならず、働き方改革や法令順守を進めることは難しいでしょう。
そこで、荷主や元請けから理解や協力を得た上で、働き方改革や法令遵守を進めることができるように次の改正が行われます。
・トラック事業者が法令遵守できるよう荷主の配慮義務を設定
・既存の荷主勧告制度の強化
・国土交通大臣による荷主への働きかけなど規定の新設(令和5年度末までの時限措置)
・トラック事業者が違反をしてしまう原因となる行為を荷主がしている場合には、国土交通大臣が関係行政機関と協力した上で、改善の対応を行う
・荷主の行為が独占禁止法違反の疑いがある場合には、公正取引委員会への通知
標準的な運賃の告示制度が導入に
また、令和5年度末までの時限措置として、国土交通大臣が標準的な運賃を定め告示できるようにします。
荷主に対して交渉力が弱いことで、必要なコストに見合う対価を収受しにくいといった問題が生じたり、法令順守しながら持続して運営ができないといった問題が発生します。
そこで、改正された貨物事業法には車の安全性確保やドライバーの労働状況把握など、事業者が遵守するべき事柄が具体的に規定されています。
法令による基準やルールが守れなければ、是正勧告や参入制限といった運営する上で妨げとなるペナルティが課せられるようです。