運送業界の働き方改革やホワイト化は簡単ではない?
社会全体がコンプライアンスを重視する傾向が高まり、働き方改革などが進む中、運送業界でも職場環境をホワイト化させなければならず疲弊している状況といえます。
ただ、運送業界の現場ではコンプライアンスを順守することにより、色々な問題や課題が発生し始めているといえるでしょう。
そこで、運送業界がコンプライアンスを推進させることでどのような問題や課題が発生してしまうのかご説明します。
ドライバーがコンプライアンスを守れない
それまでドライバー1人が複数日に渡りトラックを運行させ、長距離運送を行っていたという企業でも、営業所を複数設け中継輸送を行うことに変えたというケースもあります。
労働基準法では、8時間労働を行うなら1時間休憩を取らなければならないとされています。ただこれは一般的な業種のケースであり、貨物輸送を行うトラックドライバーの場合は、4時間運転したら30分の休憩をはさむことが必要です。さらに1日の運転時間は9時間以内を原則とし、前日出勤から翌日出勤までの間に8時間以上休息をとらなければなりません。
これらは運送業界のドライバー特有のコンプライアンスといえ、労働基準法ではなく貨物自動車運送事業法などの法律による定めです。
中継輸送を導入した企業も、ドライバーがこのコンプライアンスを遵守できるのなら取り入れることはなかったことでしょう。
企業側もドライバーに強く迫れない状況
しかしドライバーがコンプライアンスを守れないから仕方なく…というケースでは、コンプライアンスを守りたくても守ることができないドライバーの事情もあってのことです。
事前に決められた時間までに届けなければならない荷物を抱え、途中に30分の休憩をはさんでいては間に合わない…。ただでさえドライバー不足が顕著化している運送業界で、ドライバーそれぞれが抱える仕事の量も決して少なくありません。
このような事情を抱えた状態のドライバーがコンプライアンスを守れない状況に陥り、運送業者側もドライバーに対しコンプライアンス順守を強く迫りにくいといったジレンマが存在するのです。
運送業界が抱える根本的な問題解決が必要
いくら世間が働き方改革を!と叫んでいても、運送業界が改善しなければならない問題点は多々あり、職場環境や労働環境を改善させることはけっして容易なことではないといえるでしょう。
国も単に働き方改革やホワイト化を訴えるのではなく、運送業界が抱えている根本的な問題にもっと着手すべきであると考えられ、今後が期待されるところです。