ここ数年では、「楽天」や「Amazon」など「EC市場」が定着しており、新型コロナウイルス感染拡大以降の外出自粛や巣ごもり需要拡大によって、宅配貨物運送市場も拡大基調にあるといえます。
爆発的に増えた取扱量増加を背景として、運送ドライバーの働き方や宅配料金引き上げなどの問題も起きているようです。
運送業界では「人手不足」と「燃料費」の問題を常に抱えている状況ですが、特に高騰する燃料費でガソリン負担が増し、今後は倒産してしまう運送会社が増えることが懸念されています。
貨物量が増えることでニーズも高まっている中、少子高齢化や人口減少などのあおりをうけ、社会全体の人手不足感は強まっています。
その上、2017年3月に「道路交通法」が改正され、従来までであれば「普通免許「」があれば運転できた「車両総重量5t未満および最大積載量3t未満」の車は、別途免許を取得しなければ運転することができなくなりました。
激務に低賃金というマイナスイメージも強く、若者の車離れも解消されないままドライバー希望者はますます減少し、運送業界は人手不足の問題を抱えたままです。
人手不足の問題を抱えた状況の中、「燃料費」が高騰することも運送業の収益を大きく圧迫する要因となっています。
特に一部地域ではレギュラーガソリン価格が180円を超えるなど、ガソリン価格の高騰は止まらない状況です。
政府もガソリン価格の高騰を抑えるために、石油元売り会社などに1リットルあたり最大5円の「補助金」を支給することで卸価格を抑える「激変緩和措置」を導入しています。
しかし海外の情勢などが影響し、燃料費高騰に苦しい状態となっている運送業は少なくないようです。
このままガソリン価格の高騰が続けば、2022年は倒産件数が増える可能性が高くなり、コロナ禍で財務状況が悪化した運送業が次々と倒産してしまう可能性も否定できないといえます。
ガソリン価格高騰は大きな問題ですが、運送業ではディーゼル車を使っていることが多く、排気ガスを浄化する尿素水の高騰も大きな負担となっています。
日本の尿素の流通量の半分は輸入に頼っていますが、尿素水製造国内大手が工場の稼働を停止したことが影響しています。
まずは人手不足を解消し、燃料費高騰の中で収支を改善させることが課題といえますが、ラストワンマイル配送による効率化や業務自動化・機械化などが求められる中で、どのように資金を調達し何に投入するべきか十分検討していかなければなりません。