運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

運送会社が営業停止など行政処分を受けることになる違反行為とは

2022.06.17
分類:経営

トラック運送業を営むときには法令順守が基本となりますが、知らない間に営業停止など行政処分の対象となる行為をしてしまわないように注意が必要です。

そこで、運送会社の違反行為により営業停止などの事態を引き起こすことにならないために、行政処分の種類とそれぞれ対象となる法令違反について説明していきます。

運送会社に対する「行政処分」は3

運送会社に対して行われる「行政処分」は、

・車両使用停止

・事業停止

・許可取消

3つです。

国土交通省の「自動車運送事業等監査規則」と「自動車運送事業の監査方針について」にもとづき行う「監査」で法令違反が見つかったときには、違反の内容などによりいずれかの処分が科されることとなります。

仮に重大な死亡事故など起こしてしまったときでも監査が入ることはありますが、この監査は「特別監査」です。

それに対し、内部告発や通報などで法令違反の疑われる運送業者に対しては「巡回監査」が行われ、抜き打ちで実施されることもあるため注意してください。

他にも「呼び出し監査」や「呼び出し審査」など、管轄する運輸局に出向き運営の実態を報告するといったケースもあります。

では、上記に紹介した運送会社に対する行政処分の3つをそれぞれ説明していきます。

車両使用停止

「車両使用停止」は「処分日車数制度」とも言われており、たとえば次のケースで科せられることとなる行政処分です。

・点呼の一部が実施されていない

3名以上に対し運転適性診断を行っていない

・帳簿類の改ざんがある

「車両使用停止」の処分対象になれば、対象車両のナンバープレートを外すことになり、公道の走行ができなくなります。

なお、使用が停止される車両の台数は、営業所に配置されている車両数で決まります。

3年以内に再び違反があったときには処分日数が2倍以上になるため十分に注意してください。

事業停止

悪質な違反行為や重大な違反行為があったときに対象となるのが「事業停止」で、「営業停止」の処分により営業所単位で運送業を営むことができなくなります。

悪質・重大な違反行為に該当するケースとは、次のような行為があったときです。

・運行管理者または整備管理者を選任していない

・ドライバーすべてに点呼を実施していない

・全車両で定期点検整備が実施されていない

・乗務時間基準を大きく逸脱している

・監査拒否・虚偽陳述

・名義貸し

・事業の貸渡し

許可取消

「許可取消」の対象になってしまうと、取得した運送業許可は取り消しとなります。

大変厳しい行政処分ですが、対象となるのは次の違反行為があったときです。

・過去2年で事業停止処分を受けていた運送会社が一定以上の違反点数に該当する違反行為を行ったとき

該当するのは以下のケースです。

・累積点数30点以下で270日車以上の処分を受けた

・累積点数が31点以上で180日車以上の処分を受けた

・累積点数が51点以上になった

同じ運輸局の管轄区域内の営業所の違反点数が合計81点以上になったときも対象となります。

また、ナンバープレートや自動車検査証を返納しないときや法に従わないときも、「許可取消」の対象となると留意しておきましょう。