運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

置き配の荷物が盗難被害に遭った場合の責任の所在について簡単に解説

2024.04.05
分類:リスク

新型コロナウイルス感染症の拡大影響により、対面での荷物の受け取りではなく、人との接触を避ける「置き配」などを利用するケースが増えました。

 コロナ禍を過ぎ、感染が収束した後でも、荷物の受け取りは引き続き置き配利用というケースはめずらしいことではありません。

 玄関先など指定された場所に荷物を置いて配達完了とするため、不在の場合でも再配達の必要がなく、受取側も在宅していなくても荷物を受け取ることができます。

 しかし玄関先に置いたはずの荷物が盗難被害に遭うケースなどもあるといえますが、この場合の責任の所在はどこにあるでしょう。

 そこで、置き配の荷物が盗難被害に遭った場合の責任の所在について簡単に解説していきます。

置き配とは

 「置き配」とは、玄関の前や脇など指定した場所に、届けた荷物を置いて配達完了とするサービスです。

 荷物を配送する側は、届け先が不在の場合でも再配達する必要がなく、不在票など作成しなくても問題ありません。

 荷物を受け取る側も、受取時間やドライバーとの接触など気にすることなく、不在中でも配達された荷物を受け取ることができます。

 しかし指定場所によっては、置かれたはずの荷物が盗まれるなど、盗難被害に遭う可能性もあるため、安全な置き場所を指定することが必要です。

  

置き配の盗難事故の損害賠償責任の所在

 置き配で指定された荷物を玄関先に届けたのにも関わらず、届け先から運送会社に、荷物が届いていないとクレームが入ったとしましょう。

 この場合、運送会社が荷物を届け忘れているのか、置いた荷物が盗まれたのかどちらかが原因と考えられます。

 荷物を間違いなく届けて指定された場所に置いたはずなのに、荷物が見当たらないとクレームがあった場合には、盗難被害に遭った可能性が高いといえるものの誰が損害賠償責任を負うのかが問題です。

 そこで、責任の所在を次の2つのケースに分けてそれぞれ説明します。

 ・販売会社や運送会社

・荷物を盗んだ加害者

  

販売会社や運送会社

置き配で配達した荷物が盗まれた場合、代替品の発送や返金対応などで販売会社や運送会社が補償するケースです。

届け先が置き配に合意していなかったのに、勝手に置き配で配達されていたケースにおいては、販売会社や運送会社が損害賠償責任を負う可能性があります。

令和2年に経済産業省と国土交通省が公表した「置き配の現状と実施に向けたポイント」にも、売主と運送人の荷物の引き渡しは、買主と売主が合意した方法によって行うこととされています。

 

荷物を盗んだ加害者

届け先が置き配に合意していた場合において、荷物が盗難被害に遭ったのなら、警察に通報し加害者を特定してもらいましょう。

加害者が特定できた場合でも、損害賠償請求においては、刑事裁判ではなく民事裁判で請求することが必要です。

刑事事件として扱われても、有罪・無罪を判断するのみで、有罪確定後も損害賠償請求できるわけではありません。

損害賠償については、民事裁判を起こして不法行為に対する賠償請求をすることになります。