日本では少子高齢化が進んでおり、すでに超高齢化社会に突入しているといえますが、運送業界でもトラックドライバーの高齢化が進み人手不足を加速させています。
今後、さらにドライバーの高齢化が進み、若手人材を獲得できない状況が続けば、今働いているドライバーがリタイアした後、荷物の配送を担当する人材がいなくなってしまいます。
そこで、運送業界のトラックドライバーの現状と、高齢化が進むことで今後どのような問題が起きるのか解説していきます。
労働力人口は45~54歳の割合が最も多いため、高齢者の労働力人口は今後さらに増えていくことになるでしょう。
道路貨物運送業従事者も40~50代前半が4割以上を占めているため、ドライバーの高齢化も進んでいくといえます。
29歳以下の若年層が占める割合は10%程度なのに対し、60代以上の割合は16%で若年層より多い状況です。
今のままでは40~50代の運送ドライバーが定年退職してしまう10年20年後、深刻なドライバー不足に陥ることが予測されます。
運送ドライバーの高齢化や人手不足が深刻化しているのは、運送業の賃金が低いからと考えられています。
実際、厚生労働省の賃金構造基本統計調査でも、運送業の年間所得額は全産業平均より約14%低い結果が出ているため、見直しが必要といえるでしょう。
また、他業種よりも労働時間が長いことも問題です。
全産業平均より約18%も労働時間が多く、1か月あたり32時間も長く働いていることがわかります。
運送業は荷待ちや積み込み作業などが発生するため、長時間労働に繋がりやすいといえますが、労働環境を改善しなければ運送ドライバーの高齢化や人手不足に歯止めをかけることはできないでしょう。
運送ドライバーの高齢化や人手不足を解消するためには、賃金向上や労働環境改善に取り組むことが急務といえます。
高齢ドライバーでも安心して働き続けることができるように、健康問題への配慮や安全運転への取り組みなども求められます。
運送ドライバーは男性の割合が多く、女性は全体の約3%程度にとどまりますが、女性採用に力を入れれば人手不足も解消しやすくなるでしょう。
労働時間の見直しについては、運送事業者だけで解決できる問題ではないため、荷主企業にも協力を求めることが必要です。
長時間労働になりやすい背景に荷待ちや荷役作業が関係することを理解してもらい、ドライバーのモチベーション向上に向けた査定制度など魅力的な仕組みを作ることも重要になってきます。