物流サービス価格はバブル期を上回る「物流コストインフレ」が起きているといわれていますが、物流コスト高騰により社会にどのような影響を与えるのでしょう。
人々の生活に直結すると考えられる物流コストインフレとは何か、コスト高騰に向けた打開策として挙げられることについて説明していきます。
物流は社会経済を回す重要な社会インフラといえますが、一方で電子商取引が増え人口の減少に伴う労働力不足など、物流需要と供給バランスは崩れつつあるといえます。
もしもそのような状況を放置したままにすれば、物流機能は維持することが難しくなり、物流企業や社会経済全体の成長を停止させるリスクもあると考えられるでしょう。
すでに原料費や包装資材、物流費などの上昇で、実際に様々な食品や日用品が値上げされるなど、物流機能にも影響が出始めています。
運賃が上昇しているその背景には深刻なドライバー不足が関係します。
EC需要拡大で、貨物量の増加や小口化、日時指定配送などによる配送業務複雑化なども関係しますが、いずれにしても人手が足りていない状況です。
運送業のドライバーは2027年には27万人不足し、2030年になると物流需要の約36%を運ぶことができなくなるといった試算まで出されています。
そもそも日本は少子高齢化で人口は減少しており、運送業に限らず人材確保は喫緊の課題となっています。
それに加え人材は人気のある職種や産業に取られてしまい、ドライバーの人手不足は解消されにくい状況です。
今後、ドライバーがさらに減少した場合でも物流機能を維持できるような対策が必要ですが、共同輸送サービスなどが解決策として取り上げられています。
インターネットの仕組みを活用し、荷主間や物流事業者間にある運べる・運べない貨物の壁などを取り除いて、オープンな物流ネットワークを創り上げる「共同輸送サービス」を「フィジカルインターネット」といいます。
すでに輸送サービス効率化やコスト削減につながる共同輸送サービスは実施されていますが、物流事業者や荷主それぞれが共同輸送を行う相手を見つけなければなりません。
しかしインターネットを使うことで、共同輸送サービスを世界の物流サービスに広げることができます。
貨物やトラックを始めとする輸送機関や倉庫などの稼働状況がリアルタイムに共有され、その状況が情報伝達されることにより、貨物収納と輸送に必要なコンテナが用意される仕組みです。
フィジカルインターネットにより、最適な輸送経路が選択される輸送サービスが実現されることとなるでしょう。