コロナ禍で世界的に物流網が混乱し、これまでには考えられなかったような輸送価格高騰や遅延などが発生しています。
物流遅延の原因はコロナ禍によるものだけでなく、様々な問題が複雑に絡み合っているとも考えられていますが、国際物流の危機的状況の現状とその原因について説明していきます。
現状海上運賃はコロナ前よりも2.5〜3倍ほど値上がりしており、中には3〜4倍まで値上がりしているケースも見られます。
コロナ前でも2週間程度の遅れが出ることはあったものの、1か月以上遅れたというケースもあることから、遅延も深刻化しているといえるでしょう。
航空便もコロナ禍で運賃が高騰し、大幅な減便で空輸需要が急拡大するなど、船便以上の値上がりが見られます。
運輸価格高騰や遅延は、コロナ禍や自然災害が原因である一過性の問題という見方もありますが、海運を例にすると次のような原因も関係しているといえます。
鉄の価格高騰で製造コストが上がっていたため、コンテナの新規製造を抑えることが行われました。
世界的に巣ごもり需要が拡大し、中国で自動車・機械・電機などの生産が回復したことによる物流増加で、製造を抑えていたコンテナは大幅に不足したといえます。
日本は世界最大の大型船が入れる港は一つもなく、日本向け貨物は上海・シンガポール・釜山などの大きな港を経由し積み替えが必要です。
コスト効率化のためヨーロッパとアメリカを繋ぎ、途中でアジアに寄港する長い航路が主流になっていますが、いずれか1か所で遅れが発生すればすべてのスケジュールが狂うことも物流遅延の一因といえます。
コロナ禍で人材が感染者や濃厚接触者などで休みを取らなければならなくなり、労働力だった移民の方たちも本国に帰され戻れなくなるなど、人手不足がより慢性化しています。
物流需要は増え続けており、港湾には新しい船や捌ききれず溜まった貨物で溢れかえっているのに、人員は確保できない状態で悪循環に陥っているといえるでしょう。
一度現場を離れた人材が再度物流業界に戻ってくる確証もなく、労働条件や労働環境を早急に改善しなければさらに人手不足は長期化することが予想されます。