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運送ドライバーに求められる拘束時間と荷待ち時間の扱いとは

2022.09.23
分類:経営

働き方改革の一環で2019年からは労働基準法の一部が改正されていますが、運送業界も他人事ではありません。

運送業では2024年から罰則付き時間外労働上限規制が導入されることに向けて、労働環境を改善させていくことが急務となっていますが、まずはあいまいになりがちなドライバーの拘束時間を把握することが必要です。

そこで、ドライバーの適正な働き方として求められる拘束時間と、問題になりがちな荷待ち時間について説明していきます。

ドライバーの拘束時間とは

運送ドライバーのうち、荷物を預かり目的地まで配達することが業務であれば、拘束時間があいまいになりがちです。

拘束時間は労働時間に休憩時間を合わせた時間ですが、ドライバーの場合は休憩や荷物の出荷待ちの時間、洗車の時間など自由に使うことのできない時間も発生します。

トラックを運転している時間だけでなく、それ以外の休憩時間まですべて含んだ時間が拘束時間です。

また、休息時間は1日の拘束時間が終わって次の労働がスタートするまでの時間のことを指しています。

 

ドライバーの労働時間の制限

ドライバーの労働時間は厚生労働省の改善基準で定められていますが、1日の拘束時間は原則13時間以内です。

延長する場合は最大16時間まででとされており、1か月の拘束時間は原則293時間以内で最大320時間、年間の拘束時間は3,516時間以内までであるため守るようにしましょう。

113時間で仕事が終わらないのなら最大16時間まで延長することはできますが、115時間を超えてもよいのは1週間に2回までという制限もあります。

1か月の拘束時間も労使間で協定を結ぶことにより、1年間で6か月まで最大320時間までの延長が認められます。

ただし1年間の拘束時間が3,516時間=293時間×12か月以内でなければならないことは留意しておいてください。

 

36協定による時間外労働

法定労働時間を超えた業務が必要となる場合、労使間で結ぶのが36協定です。

使用者と労働者で書面により契約を取り交わすことが必要となり、所轄の労働基準監督署長への届出も必要となります。

ただし36協定を結んでいても、月45時間・年間360時間を超える時間外労働はできないとされています。

 

荷待ち時間の扱い

トラックドライバーの拘束時間を左右するのが荷待ち時間です。

荷待ち時間が長引けば配送業務に影響が出ることとなり、1日の拘束時間を超えてしまう可能性も高くなります。

そして運送会社によっては、何もせずに待つだけの時間のため休憩時間とみなすケースもありますが、自由に使える時間ではないため休憩時間には含まれません。

荷待ち時間は労働の一環であり、本来の休憩時間として扱うことは認められていませんので注意してください。