最近、貨物輸送のメインとなっているトラックから、列車による貨物へと切り替える「モーダルシフト」が注目されつつあります。
JR貨物による鉄道事業は慢性的な赤字続きでしたが、このモーダルシフトが注目されていることを証明するかのように、2017年度の決算では24年ぶりの黒字転換となりました。
そこで、モーダルシフトとはどのような特徴があるのか、その内容や取り組みの事例などをご紹介します。
現在、日本での貨物輸送はトラックによるものがメインとなっていますが、トラックから大量輸送を可能とする鉄道など転換させるのがモーダルシフトです。
地球温暖化対策にもなる上に、トラックドライバーが不足していることでも注目されるようになりました。
鉄道輸送の担い手であるJR貨物は、日本全国に約8千キロという鉄道網を有し、毎日約600本という貨物列車が走り、コンテナは約7万個を保有されています。
定時発着率も約95%と世界的に見てもトップクラスであることも、モーダルシフトを牽引できている大きな要因となっているといえるでしょう。
モーダルシフトが注目された背景にあるドライバー不足ですが、トラックドライバーの働き方の特性として、企業規模に関係なく拘束時間が長くなりやすいことが問題視されています。
過酷な労働環境であることから、若い世代がドライバーとして働くことを希望することが少なくなり、現在深刻な人材不足の問題を抱えている状況です。
特に長距離トラックのドライバーを中心としてドライバーが足らない状態であり、今後はますますその問題が深刻化すると考えられています。
ドライバー不足が深刻な問題となっていることだけでなく、輸送コストの問題、CO2排出量削減の問題など、トラックから鉄道への転換を検討せざるを得ないといった状況に追い込まれているともいえるでしょう。
このような状況の中でトラックドライバーの長時間労働を改善させるため、モーダルシフト化だけでなく、トラックによる長距離輸送を複数のドライバーで分担する中継輸送にも注目が集まっています。
さらに鉄道コンテナ輸送など、鉄道での幹線部分、そしてトラックでの集荷と配達が連携する形の輸送サービスも行われており、今後は輸送手段がトラック以外にシフトされていくことが期待されています。