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運送業で働く人が年次有給休暇を時間単位付与してもらうことはできる?

2023.11.02
分類:総務

運送業で働く人の中には、1日まるごとではなく、時間単位で有給休暇を取得したいという

ケースもあることでしょう。

 1日休む必要はないものの、たとえば午前中の数時間だけ医療機関を受診したい場合や、親戚のお見舞いで午後数時間のみ休暇を取得したいという場合などです。

 運送業でどのような業務を担当しているかによって、年次有給休暇の取得のしやすさなども変わってくる可能性はありますが、実際、時間単位付与してもらうことはできるのか解説していきます。

年次有給休暇の時間単位付与について

 「年次有給休暇」とは、一定期間勤続した労働者が、心身の疲労を回復させてゆとりのある生活を送るために付与される休暇です。

 「有給」であるため、休暇取得中にも賃金が発生します。

 時間単位付与で有給休暇を取得すると、本来なら1日や半日単位での休みとなるものが、2時間や3時間など時間単位で休むことになります。

 有給休暇取得率の向上につながることが期待される反面、労働基準法の計画的付与としては、時間単位年次有給休暇を与えることはできません。

 また、時間単位の有給休暇付与は、事業者に義務化されていないため、それぞれの運送業で制度として導入していれば取得可能という扱いです。

 もしも年次有給休暇の時間単位付与制度を導入するときには、労使協定を結び、就業規則に規定しておくことが必要となります。

 

 時間単位付与できる有給休暇の上限時間

 積極的に有給休暇取得を取得してもらうことを目的として、時間単位付与を制度として設けることはできます。

 ただ、すべての年次有給休暇の日数を時間単位により取得することは認められてません。

 時間単位付与の上限は、1年間合計5日分までとされていますので注意してください。

 

年次有給休暇の時間単位付与のメリット

 年次有給休暇の時間単位付与の最大のメリットは、有給休暇取得率を向上させられることです。

 実際、日本の有給休暇取得率は低く、たとえ時間単位であっても積極的に取得してもらえれば、他の従業員の取得にもつながる可能性があります。

 業務に対する影響を最小限に抑えることができるため、休みにくさを感じている人は特に取得しやすくなるはずです。

  

 年次有給休暇の時間単位付与のデメリット

 年次有給休暇の時間単位付与のデメリットとして、事務的な管理が面倒になることが挙げられます。

 日単位であれば、いつ休みを取得したのか管理しやすいのに対し、時間単位になると細かな計算などが必要となるでしょう。