現在、日本では多くの業界で人手不足の問題を抱えていますが、物流業界もその1つです。
足らない人材を外国人労働力で補おうとする対策を講じる業界もある中で、人手不足が深刻化している運送業界では外国人労働力の受け入れの門戸は開かれていません。
外国人を労働力として受け入れるために、2019年4月には改正入管法が施行されました。それによって、新しい在留資格である特定技能が新設となりましたが、この特定技能で対象となるのは介護や自動車整備など14の分野に限定されています。
この特定技能に新しい分野が追加される可能性もありますが、トラック運送業界からの具体的な要望は行われてはいない状態です。
運送会社が新しく営業所を開設し、ドライバーの求人広告を打っても希望者が集まらず、同業者同士でドライバーを取り合ってしまっている状態です。
このままではサービスを十分に提供できないことも考えられることから、外国人も労働力として視野に入れることが必要ではないかと考えられています。
それぞれの運送会社には独自のカラーがありますので、そのカラーに合わせることが大変なのは日本人でも外国人でも同じです。全車両にドライブレコーダーなどを導入すれば、遠く離れていても管理はできるはずなので、勤務態度や車の盗難に対する不安を抱えることもないでしょう。
外国人技能実習生をドライバーとして受け入れることができれば、雇用した外国人が母国に戻ったとき、習得した技術を持ち帰り母国で生かすことになります。
それだけでなく、受け入れた外国人がパイプ役となって海外進出のつながりになる可能性も出てくるでしょう。
物流業界でも外国人技能実習制度などを通して外国人を労働力として迎えようとする動きはあるものの、トラック業界からドライバーとして受け入れたいという要望は国土交通省など関係省庁には入っていないようです。
もしトラック業界も外国人を労働力として必要とするなら、業界で議論や要望活動を積極的に行うことが先であるといえます。
そして海外に対してもトラックドライバーの魅力を伝えることが必要なため、仮に制度が整備されたとしても働きたいと希望する外国人を獲得することはできないと考えておくべきです。
いずれにしても、まずは運送事業者や運送業界団体が、外国人を労働力として迎え入れることの必要性について議論を行い、意見をまとめていくことを検討するべきといえるでしょう。