アメリカのシアトルに本拠を構えるECサイトであるWebサービス会社「アマゾン」。注文すれば次の日には商品が届くなど即日発送などにも対応していたり、土日配送も可能であったりなど、迅速に商品を受け取ることが可能なため利用者を獲得し続けています。
物流の管理体制も徹底しているため、購入者に商品を届けることができないといった事態に陥らないよう、消費者の手元に届けるための最終ルートを分散化するといったことも行われています。
アメリカを拠点とし、現在のように規模が拡大されるまでいろいろあったようですが、中でも物流に対する積極的な戦略が影響しています。
たとえば物流センターがユーザーから離れた場所にあると、商品を届けるまで時間がかかってしまうことになります。
そこで、ユーザーに届けるまでの時間を短縮するため、アマゾンユーザーが多く住むエリアには独自の配送センターを積極的に設けるなど、消費立地型に戦略を転換するといったことも行われたのです。
他にも生鮮食品の即時配達サービスや、最短1時間で配送される「プライムナウ」なども実施し、さらに自前の配送体制を構築していきます。その1つが2015年から始まった、一般の方の空き時間を利用する配送「アマゾンフレックス」で、ウーバーの物流版ともいわれるようになりました。
さらに2016年9月にはヤマト運輸で宅配ドライバーを採用する動きが止まったため、アマゾンはヤマト運輸に業務を委託する比率を従来の71%から49%まで減らし、地域宅配会社に対する依頼を5%から20%まで増やすといった対応をしています。
この決断がなければ増加する配送に対応することはできず、窮地を乗り切ることはなかったかもしれません。
当日配送サービスやプライムナウも継続しつつ、ヤマト運輸以外の地域宅配会社の活用を拡大していったことで今があるといえるでしょう。
即日発送されるプライムナウは、現在複数の物流会社を地域宅配会社として育成し、提供できるエリアをだんだんと拡大しているところです。
このアマゾンの大切なパートナーともいえる地域宅配会社をデリバリープロバイダといいますが、基本契約期間は1年で顧客からのクレームなどがあれば当然見直しされることとなります。実際、複数社しかいない宅配会社の中で、契約を打ち切られる宅配会社もありました。
先に述べたアマゾンフレックスのように、軽貨物車を保有する個人事業主のドライバーと直接業務委託し配送を行うといったことも実施されているため、自社物流の道を歩み始めているともいえます。
今後もアメリカや日本、ヨーロッパなど、たくさんの国の小売業界を制覇していくことが予想されています。