トラック運送業は人手が足りていない業界と知られていますが、様々な業種の中でも運送業は特に人手不足が深刻化しています。
コロナ禍で一時的に荷動きが悪化したこともあり、ドライバー不足も落ちつきを見せていたものの、ECサイト拡大などにより運送需要が高まったことで再び深刻化してきたといえます。
トラック運送でも労働時間は厳守しなければならず、増員は不可欠といえますが、それでもドライバーを採用し確保できない現状を抱えている運送事業者が少なくありません。
そこで、人材確保による増員が不可欠な状況にありながら、なぜドライバーを確保できないのか、その事情について解説していきます。運送事業者の中には、人手が足りておらずトラックが余っているケースもめずらしくありません。
十数台しかないトラックでも、大型トラックは乗り手がいない状態で、求人広告を毎月出しても応募がなく年間で百万円単位に上るコストがかかっているケースなどもあるようです。
人材を採用できない状態でありながら、辞めていくドライバーもいるため、トラックの維持費だけを払い続ける状態では事業継続が難しくなり、車両も売却しなければならなくなってしまいます。
長時間労働が問題視されている運送業では、労働時間管理に取り組む運送事業者も増えてきました。
しかし人手不足の影響により、時間外労働に上限規制が設けられる2024年までに労働時間を削減したくても、そのための増員に至らず労働時間の削減に着手できないケースが少なくありません。
2024年までに間に合わなければ、既存ドライバーの離職につながる恐れもあるため、より人手不足が深刻化してしまいます。
運送業のドライバーの給料は運送事業者の規模によって異なるものの、長時間労働をしても20~30万円台のことが多く、他業種と比較したとき恵まれているとは言えない状況です。
労働時間は長いのにも関わらず、給料はそれほど高くないという状況では、ドライバーの獲得や定着率向上にはつながりにくくなってしまいます。
たとえドライバーとしての経験年数は長くても、中型や大型のトラックを走らせることができなければ給料は上がりにくいのが現状です。
中型や大型免許が必要になるため、スキルアップを意識した働きが望まれますが、人を育てるまでに至っていない状況にあることが問題といえるでしょう。