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原油価格が高騰中?価格変動が起きる理由やトラック運送業に求められる対応を解説

2023.03.06
分類:経営

ロシアのウクライナ侵攻に伴い、ロシア産原油が市場から消えてしまうことによる供給不安なども関係し、原油価格は現在も高騰中です。

また、新型コロナウイルス感染拡大の影響により世界の石油在庫が急激に不足してしまったことによって、原油価格は大暴落することとなり、その後にOPECプラス参加の産油国が減産を続けました。

その結果、石油の在庫が減少することとなったため、原油価格は高騰し続けている状態です。

そこで、価格変動が起きる理由やトラック運送業に求められる対応を解説していきます。

原油価格の変動が起きる理由

原油価格は市場の需要と供給のバランスで変動することとなり、需要面では石油消費国である米国など世界的な景気動向や欧米の冬場の石油需要などが大きな影響を与えると考えられます。

そして中国やインドなど経済成長に伴う石油需要増大も価格変動の要因といえるでしょう。

新しい資源が発見されない場合や資源を掘り出す技術が進歩しなければ、今の資源を使い切ってしまうまでに天然ガス・石油は約50年、石炭・ウランは130年以上と考えられているためとても深刻です。

需要は高まっても供給はおいつかない

原油価格が高騰している中、供給よりも需要に対する不安が市場を支配するようになってきているともいえます。

ゼロコロナ政策が影響し、世界最大の原油輸入国といえる中国の原油需要は減少することが懸念され、世界の中央銀行の金融引き締めなどで2023年はさらに原油需要は厳しくなると考えられます。

国際金融協会(IIF)も2023年の世界経済成長率について、金融危機後の2009年並みといえる低水準を予測しており、世界経済の最大の牽引役となるのは中国ともしています。

しかし中国経済も下振れリスクが高まる中で、世界経済の成長率はさらに低くなるとも考えられるでしょう。

運送業の原油高対策

原油価格高騰は国内トラック事業者の経営にも大きな影響を与えており、全日本トラック協会によれば軽油価格1円上がるごとに物流業界全体に対する影響額は年間約167億円負担増になるとしています。

そこで、燃料価格高騰の中でも安定した輸送力を確保するため、「燃料サーチャージ制の導入」や「標準的な運賃の活用」への理解を求めているといえるしょう。

燃料サーチャージは、燃料価格の上昇・下落でコストが増減する分を、別建ての運賃で設定する制度です。

取引先と交渉が必要になりますが、もっともハードルが高い部分になるといえるでしょう。