現在、インフレで物価が上昇しているといわれていますが、運送業界にもその波がいろいろな形で影響を及ぼしているといえます。
そこで、インフレとはどのような状況を指すのか、運送業界に及ぼす影響について解説していきます。インフレとはインフレーションを省略した呼び方であり、商品やサービスの価格が上がることです。
販売価格を高めに設定できるようになれば、商品やサービスを売る側は儲けを多く出すことができます。
その会社で働く従業員の給料も上がり、増えた給料で旅行に行ったりモノを買ったりと経済も活性化します。
このように景気拡大をともなうインフレはよいことですが、その一方で商品の仕入価格も高くなり、販売価格に上乗せできなければ業績は悪化してしまいます。
業績が悪くなれば従業員の給料は上がりません。
給料据え置きや減給などが実施される中、商品やサービスの値段は値上がりするため、家計を圧迫してしまいます。
たとえばインフレによって5%物価が上昇した場合、これまでであれば20万円で購入できたものは、21万円出さなければ買えなくなってしまいます。
収入も上がっていれば生活に支障は出ないと考えられますが、賃上げなどなければ生活は苦しくなる一方です。
緩やかなインフレは経済によい影響をもたらすと考えられているものの、あくまでも収入が購入する商品やサービスの価格以上に上がることが前提といえます。
さらにインフレでモノの値段が上がれば貨幣価値は下がることになるため、銀行などの預金の価値も目減りします。
運送・物流の需要は、EC拡大・成長や多品種小ロット輸送が拡大されたことで今後はますます高まると考えられます。
しかしトラックドライバーなど供給を支えるリソースは不足しており、能力が需要に追い付いていない状態です。
1990年代から2010年代にかけて、規制緩和などが影響して物流コストデフレ時代が続きました。
現在は輸送費が高騰している状況であり、その背景には燃油価格高騰やドライバー不足、積載効率低下などが関係しています。
さらにインフレによる物価上昇で、様々なモノの値段があがり、維持費などにも打撃を与えているといえるでしょう。
影響を最小限に抑えるためにはコスト削減が欠かせず、物流のムダを見直すことや物流業務をアウトソーシング化すること、さらに物流管理をデジタル化することなどが必要と考えられます。