運送物流業情報ラボTransportation Logistics Information Lab

物流の人手不足によるお歳暮の送料値上げが顕著化

2020.04.19
分類:経営

年末が近づくと、お世話になった方々にお歳暮に何を贈ろうかと頭を悩ませる方が増えます。

しかし現在、物流業界の深刻な人手不足が続いていることによって運送費の値上がりなどが影響し、次々に百貨店など小売店では配送料など値上げするといった傾向が見られます。

もともと送料は無料やお得な金額だったのに…

そもそもお歳暮の送料は、企業努力により全国一律利用金としたり、一定金額を超えるものは無料としたりといった対応を行っていました。

しかし運送費が値上がりしたことで、本来なら重さが軽い商品などは安くすんだはずの送料が倍近くに引き上げられ、全国一律だった金額も値上げするといった状況です。

ただ、値上げに踏み切ったのは25年以上ぶりなど、長年に渡り配送業者も百貨店側も我慢していたものの耐えきれなくなったことが原因といえます。

ちょうどお歳暮シーズン直前に宅配業者から値上げ要請を受けたことで、まずはお中元のタイミングで少し値上げし、お歳暮から倍に金額を引き上げるという傾向が見られました。

このお歳暮の送料値上げは2018年からで、インターネット注文を利用することで一定額以上購入すれば送料を無料にするといった選択肢を拡大する工夫も行いながらのことのようです。

 

時期を分散化させる工夫まで

また、一部の小売店では配送時期を分散させるため、12月では11月に配送を指定することでお得になるキャンペーンを設けたり、11月限定となる商品の準備を行ったりなど、様々な工夫が見られます。

そしてこのような配送時期を分散させる取り組みは中元やお歳暮以外にも、母の日や父の日などでも同様に行われている傾向です。

また、お歳暮商戦は12月ですが、これが引っ越し事業などになると3月や4月にかけて依頼が集中する傾向が見られます。

国土交通省などでも、3月は引っ越し時期のピークと呼ばれる繁忙期であり、できるだけこのピーク時期を避けるよう分散化に協力するようにお願いをしているようです。

 

繁忙期に対応できない状況でも

現在、物流・運送事業はドライバー有効求人倍率が過去最大の3倍で推移するほど人手不足です。お中元やお歳暮、引っ越しなどニーズが高まる時期にはドライバーや車両が不足しがちで、対応が難しくなっていることが現状といえるでしょう。

ただ、お歳暮は遅くても12月には届け先に品物が到着しなければなりませんし、引っ越しも仕事や学校など新たな生活をスタートさせるまでに間に合わせる必要があります。

円滑にモノや人が移動できるようにするためには、やはり物流・運送業界の人手不足そのものが解決されることが望ましいといわざるを得ない状況です。