物流業界の本決算や中間決算において、荷主の在庫資産を確定させるために「棚卸し」が必要です。
一般的に「棚卸し」とは現物を確認して在庫の実数とデータ上の数値が合っているのか確認する作業のことですが、物流業界でも顧客から預かっている製品や商品の在庫数を数えることを指しています。
帳簿に記載されている在庫の数と現物の数にズレが生じないようにすることが求められますので、手間や時間がかかる作業であると捉えておきましょう。
店舗にどのくらいの在庫があるのか確認するための棚卸し作業なら、数量もそれほど多くないため数時間、長くても1日かければ終わるでしょう。
しかし品番数や総在庫数において何十万という数のアイテムを保管する倉庫や配送センターなどの場合、ただ現物を数えるだけといってもかなりの負担となります。
カウントミスなどが発生しないとも言えませんので、倉庫や配送センターでは棚卸しの前の事前準備をしっかり行いましょう。
特に注意したいのは通常の作業をすべてストップさせ、すべてのスタッフが現物をカウントしていく一斉棚卸しは大変な作業となります。
実施するスケジュールの策定、棚卸し票の作成、在庫確認、棚卸し票の記入方法まで、すべてのスタッフが把握しておくことが求められます。
ここで注意したいのは棚卸しの方法で、タグ方式とリスト方式のどちらを使うかによっても作業内容は異なります。
事前に保管されている在庫の棚に連番で管理されるタグ(棚札)という伝票を貼り付けておき、品目や個数を担当者が確認した後で記入し、すべて数え終わったら棚札を回収するという流れです。
棚や現物に棚札が貼り付けられるので、数える際に漏れが発生しにくいといえるでしょう。
在庫管理システムでリストを作成し数を確認していく方法です。
リスト方式が用いられるのは主に自動倉庫などの棚卸しで、タグ方式より短時間で作業を終了させることができます。
ただ、リストの在庫と現物の品目や数量が一致しなければならないため、リアルタイムでそのリストを出力できる在庫管理システムが導入されていなければなりません。
一斉棚卸しを行う際には、すべてのスタッフが目視により帳簿上の在庫と現物の数が合っているのか確認します。そのためスタッフの経験の違いにより、照合するまで正確に素早くできるか人それぞれです。
集計した棚卸し票はコンピュータに入力することになりますが、ここでも入力におけるミスが発生してしまう可能性があります。
人為的なミスがすべての作業で起きる可能性があるので、通常業務と並行しながら準備を行い、トレーニングなども必要です。
この場合、ハンディターミナルなどを活用することで迅速で正確な棚卸し作業を実現することができるはずなので、導入することも検討してみるとよいでしょう。